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非上場株投信、日本でも 投信協が解禁 新興、資金調達しやすく 野村系、24年度設定へ

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  1ページ  1085文字  PDF有  書誌情報

 誰でも買える公募投資信託に非上場株を組み込めるようになる。これまでは時価を算出しにくいため制限されてきたが、国際基準を使い公正に評価できるようにする。身近な投信で投資できるようになれば個人の選択肢が広がる。上場予備軍の新興企業も資金調達しやすくなり、企業価値が小さいまま新規株式公開(IPO)する小粒上場(総合2面きょうのことば)も避けられるようになる。
 金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)の方針を受け、運用業界の自主規制団体である投資信託協会が15日に自主ルールを改正する。非上場株の組み入れの上限は米国の制度を参考に純資産総額の15%までにする。
 個人はIPO前の成長段階で投資機会を得られる。新たなしくみで、野村アセットマネジメントはベンチャーキャピタル(VC)のジャフコグループと組み、2024年度内に非上場株を組み入れた投信の設定を目指す。三井住友DSアセットマネジメントやフィデリティ投信なども非上場株を組み入れた投信づくりを検討する。
 株価指数に連動したパッシブ運用にとどまらない運用商品の多様化につながる可能性がある。
 日本の公募投信は時価評価の規則が厳しく、発表頻度が少ない気配相場による算定を求めてきた。このため非上場株を投資対象にすることは事実上、できなかった。
 投信協は非上場株を「公正価値」で評価するようルールに明記する。公正価値評価は国際会計基準(IFRS)や米国会計基準が求める時価の算定手法で、純資産や割引キャッシュフロー、類似企業との比較などで価値を測る。米欧のVCは新興企業に投資する上で公正価値を出しており、日本のVCにも広がってきている。
 非上場株の解禁に伴い投資家保護の新たなルールも導入する。投信の販売会社に対して顧客に渡す目論見書で非上場株の流動性の低さなどリスクの説明を求める。運用会社には非上場株の発行企業の経営の健全性を確保し、財務諸表を基に企業の継続に重要な疑義を抱かせる内容がないか継続的な審査を義務づける。
 米国では非上場株を組み入れた投信が普及し、好成績を支える一因になっている。米資産運用大手フィデリティ・インベスメンツや米ティー・ロウ・プライスは配車アプリ大手の米ウーバー・テクノロジーズ株も上場前に投信に組み入れていた。
 すでに英フィデリティ・インターナショナルが運用する英国籍の投信において一部、日本の非上場株を組み入れており、その一つが18年に上場したネット印刷仲介サービスのラクスルだった。運用会社が新たに日本籍の投信を設定する際も、投資対象はIPOが近い「レイター」段階が中心になる見通しだ。

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世界の製造業、5四半期ぶり増益に転換 10~12月、米消費がけん引

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  1ページ  667文字  PDF有  書誌情報

 世界の製造業の2023年10~12月期純利益は22年7~9月期以来5四半期ぶりに前年同期比で増益に転じた。堅調な米景気を背景に自動車や電機などが販売を伸ばし、中国景気の減速による悪影響を補った。全体では1割増益と2年ぶりの伸び率となった。(関連記事投資情報2面に)
 QUICK・ファクトセットのデータを使い日米欧中などの主な上場企業約1万1000社(未発表の場合は市場予想、13日時点)を集計した。時価総額ベースで世界全体の8割超を占める。
 23年10~12月期の純利益合計は前年同期比13%増の9641億ドル(約145兆円)と4四半期連続で増えた。伸び率は21年10~12月期(57%増)以来の高水準となる。先行して改善していた非製造業に製造業も加わり復調が鮮明だ。
 製造業は2%増益に転じた。インフレが鈍化するなか、米国の堅調な個人消費を取り込んだ。部品不足による供給制約が解消したことも売り上げ増につながった。
 米アップルは高単価の新型スマートフォン「iPhone15」が好調で5四半期ぶりに増収増益となった。トヨタ自動車は米国でハイブリッド車の販売を伸ばしつつ、値上げを浸透させた。
 非製造業は26%増と4四半期連続で増益となった。米スターバックスは北米で顧客単価が4%伸びた。ネット広告も回復し、米メタや米グーグル持ち株会社のアルファベットが最高益となった。
 懸念材料は中国景気の減速だ。製造業の一部で影響が出ており、みずほ証券の王申申氏は「不動産などのインフラ関連の投資が1~3月に底入れするかどうか見極めたい」と話す。

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キリンHD社長に南方氏

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  1ページ  384文字  PDF有  書誌情報

 キリンホールディングス(HD)は14日、南方健志取締役常務執行役員(62)が3月28日付で社長最高執行責任者(COO)に昇格すると発表した。磯崎功典社長(70)は代表権のある会長最高経営責任者(CEO)に就く。注力分野と位置づける健康関連事業の責任者を務める南方氏の下でさらなる成長を目指す。(関連記事ビジネス2面に)
 3月28日開催の定時株主総会での承認などを経て正式に決定する。社長交代は9年ぶり。南方氏は子会社の協和発酵バイオの社長などを経て、2022年からキリンHDのヘルスサイエンス事業本部長を務める。14日の会見で南方氏は「食、医、ヘルスサイエンス3つの事業領域で成果の質にこだわる」と述べた。
 南方 健志氏(みなかた・たけし)84年(昭59年)東大農卒、キリンビール入社。15年キリンホールディングス常務執行役員。22年取締役常務執行役員。広島県出身。

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ニデック社長に岸田氏 ソニー出身 永守氏はグループ代表

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  1ページ  351文字  PDF有  書誌情報

 ニデックは14日、岸田光哉副社長(64)が4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に就く人事を発表した。創業者の永守重信氏(79)は会長兼CEOから、新設される代表取締役グローバルグループ代表になる。前職のソニー(現ソニーグループ)時代を含め、営業や生産の経験が豊富な岸田氏を中心とする集団指導体制に移行する。(関連記事ビジネス2面に)
 小部博志社長兼最高執行責任者(COO、74)は代表権のない会長に就く。永守氏はM&A(合併・買収)や後進の育成にあたる。小部氏は、岸田氏とグループ会社の間を取り持つなど、新社長のサポートにまわる。
 岸田 光哉氏(きしだ・みつや)83年(昭58年)京大教育卒、ソニー(現ソニーグループ)入社。22年日本電産(現ニデック)常務執行役員、23年から現職。香川県出身。

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好循環の胎動(3)ウイスキー最高値 資産防衛、現金から実物へ(物価を考える)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  1ページ  1291文字  PDF有  書誌情報

 「厳正なる抽選の結果、当選しました」。2023年10月、大手広告会社に勤める30代女性は不動産会社からの電話に胸が躍った。10倍を超える倍率を突破し東京五輪・パラリンピック選手村跡地の大型マンション群「晴海フラッグ」(東京・中央)の一室を手に入れることが決まった。
 広さは約60平方メートルで価格は約8000万円。住む予定はなく貸しながら売却を探る。「インフレの時代、現金の価値は目減りする。節約ばかりの生活には抵抗がある」。値上がりで2000万円以上の売却益を、とそろばんをはじく。
中古も億ション
 不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)がまとめる東京都心6区の中古マンション平均希望売り出し価格は、23年12月が70平方メートル当たり1億995万円。最高値を11カ月連続で更新した。不動産投資経験のある50代会社員は「中国の投資家は現物を見ずに買う」と驚く。都心の物件を巡る競争は激しさを増す。
 「こんな相場は経験がない」。酒類の買い取り販売を手掛けるJOYLAB(東京・港)の太田圭亮社長はウイスキー相場の高騰ぶりに困惑する。
 サントリーの「シングルモルトウイスキー山崎12年」700ミリリットル品(箱無し)の買い取り価格は1月、1本2万4000円。前年同月に比べ6割上がり過去最高値をつけた。「投資の初心者が、手掛けやすい価格帯から参入している可能性がある」(太田社長)。ゴルフ会員権も関東地区で新型コロナウイルス流行前から49%高くなった。
 デフレ期、資産を確実に守る手段は預貯金だった。日銀の資金循環統計によると、23年9月末時点の家計の金融資産は2121兆円。現預金がなお過半だ。3月末時点で1~3割の欧米との差は大きい。
 モノの値段が上がり始めると、現金のままでは資産も細る。そんなリスクを嗅ぎ取った個人のマネーが、実物資産に流れ始めた。
 金は小売価格が23年8月に1グラム1万円を突破しても個人の買いが続く。国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると23年の国内の金地金・金貨(コイン)の取引は2.3トンの売り越しと、22年の売り越し(11.2トン)を大幅に下回った。一般的だった「安値で買い、高値で売る」傾向に変化がうかがえる。(経済・政策面に「気になるサイン」解説)
DCに全員加入
 従業員の資産防衛へ企業も動き始めた。宝飾大手ミキモトは4月、確定拠出年金(DC)を拡充する。希望者のみが利用する現状から、会社負担を増やし対象者全員が加入する仕組みに変更する。商品には信託報酬が安い株式パッシブファンドなども加える。同社人事部の片桐匡康部長は「物価が上がるなか、20代や30代にも老後資金を準備するという意識を高めてほしい」と話す。
 世界最大の資産運用会社、米ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は昨年3月、投資家への年次書簡で「マットレスの下やコーヒーの空き缶に現金を置いておいた人は、インフレの影響で1000ドルの価値は目減りしてしまったことでしょう」と指摘した。資産運用は老後を左右する。個人も意識改革が迫られる。

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寄席には独特の用語がある。「顔付け」とは出演者の順番を決めること、もしくは番組表を指す(春秋)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  1ページ  562文字  PDF有  書誌情報

 寄席には独特の用語がある。「顔付け」とは出演者の順番を決めること、もしくは番組表を指す。演芸場の席亭や落語団体の事務局が協議して決めるそうだ。「トリ」はよく知られるが、その一つ前の演者を「膝代わり」と呼ぶ。これがなかなか難しい役どころなのだ。
▼時間が押しているときは短く演じ、主役につなぐ。奇術など落語以外の芸人が務める。この役柄の代表格は紙切りの三代目林家正楽さんだった。どんな注文にも即興で応じる名人が、先月21日に76歳で旅立った。先週末に寄席をのぞくと胸が詰まった。顔付けの膝代わりに正楽の名が残っていた。急なことだったのだろう。
▼新型コロナウイルス禍で寄席が一時休業し、再開したころ。「なんでも切りますよ~」。お題を募ると、客席から「賭けマージャン」のリクエスト。あのとき、検察庁の幹部が取り巻きといけない遊びに興じ、引責辞任した。難度の高い時事ネタである。だが、パイを握る男たちを鮮やかに切り抜き、満座の喝采を浴びた。
▼先週末の寄席に二代目正楽の子、二楽さんが出演。すると客が、「三代目正楽!」と注文した。故人の人柄をしみじみ語りつつ、高座で得意の「相合い傘」を切り抜く三代目を精緻に仕上げた。泣けてきた。もし名人が健在なら「自民党派閥の裏金」のお題をどうさばくか。体を揺らし、練達の技を披露する姿を想像した。

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円、3度目の150円台 22・23年に続き 日米金利差高止まり見込む 円高シナリオ後退

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  2ページ  1398文字  PDF有  書誌情報

 14日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=150円台後半と約3カ月ぶりの水準をつけた。米国の物価や景気動向が想定以上に強く、市場では米連邦準備理事会(FRB)による大幅な利下げ期待が薄れた。日銀が当面緩和的な金融政策を維持するとの見方も円売りを促している。
 円は2022年に、32年ぶりに150円台に下げた。節目となる同水準に乗せるのは23年に続いて今回で3度目となる。
 円相場は23年11月に151円台まで下落した後、12月下旬には140円台前半まで円高が進んだ。市場では当時、FRBの利下げや日銀のマイナス金利解除によって日米の金利差が縮小し、24年は円高基調になるとの見方が多かった。こうした想定は見直しを迫られ、1カ月あまりで約10円、円安が進んだ。
 財務省の神田真人財務官は14日午前、「最近の為替の動きはかなり急速だ。災害対応と一緒で24時間365日対応できるよう準備している」とけん制した。その上で「特定の水準を考えて行動していない。どれくらい大きくはやく変動しているかや、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)との乖離(かいり)などを勘案する」と語った。
 円安・ドル高を後押ししているのが米利下げに関する市場の思惑だ。金利先物市場が織り込む24年末までの利下げ回数は年初から大幅に減っている。1月中旬には6.5回程度だった。2月2日発表の1月の米雇用統計で労働市場の強さが鮮明になると、4回強にまで下がっていた。
 さらに13日発表の1月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ると、利下げ想定は約3.3回に低下した。粘着的なインフレを受け、FRBは政策金利を当面維持するとの見方が強まった。
 23年12月にFRBが示した24年末の政策金利見通し(中央値)は4.6%とおよそ3回の利下げを見込んでいる。強い景気指標が相次いだ結果、「FRBと市場の間で広がっていた見方のズレは埋まりつつある」(バークレイズ証券の馬場直彦チーフ・エコノミスト)。
 日銀の政策を巡る観測も円売りにつながっている。年初には能登半島地震が起きた。影響は見極めにくく、日銀のマイナス金利解除「1月説」は急速に薄れていった。
 市場では日銀は4月までにマイナス金利解除に動くとの見方が多く、関心はその後の利上げに向かう。内田真一副総裁は今月8日、解除後も「緩和的な金融環境を維持していくことになる」と発言した。日銀は連続して利上げすることに慎重との見方が広がり、日米金利差の高止まりを見込んだ円売り・ドル買いが入りやすくなっている。
 日米それぞれの金融政策を巡る思惑が変化した結果、他の通貨に比べて円の下げが目立つ。対ドルの下落率は23年末比6.4%とG10通貨と呼ばれる主要通貨の中で最大だ。円は23年を通じても下げが最も大きかった。
 年初からの日本株高が円安を招いているとの指摘もある。日本株で運用する一部の海外投資家は、円安進行でドルベースの利益を目減りさせないために円売り・ドル買いを組み合わせる。株高が続いて運用残高が増え、追加的な円売りを誘った。
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは「米利下げが始まればドル安が進むとの大局観は変わらない」と語る。その一方、当面は円安ドル高が定着し「22年につけた1ドル=151円90銭をうかがう可能性もある」とみる。

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ソニー・ホンダ、EV3車種投入へ 小型車・SUV追加 北米でテスラ対抗

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  2ページ  848文字  PDF有  書誌情報

 ソニーグループとホンダが共同出資するソニー・ホンダモビリティは2020年代後半までに電気自動車(EV)を3車種投入する。25年のセダンを皮切りに、27年に多目的スポーツ車(SUV)型、28年以降に普及価格帯の小型車を発売。主力の北米で米テスラに対抗できる車種をそろえる。EV新興勢のラインアップ拡充で競争は激しくなる。
 ソニー・ホンダは「AFEELA(アフィーラ)」のブランド名で、セダン型のEVを25年に発売する方針を示していた。セダンの車台を使い、新たに派生車種としてSUV、小型車を投入する計画だ。セダンより車体が大きいSUVは車内空間が広く、立体音響や映像体験などエンターテインメント機能を拡充しやすい。
 小型車は、トヨタ自動車「カローラ」や独フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ」などと同等サイズになる可能性がある。装備や機能を省いて、販売価格を抑える。ホンダが開発するEVとの部品共用も想定する。具体的な仕様は今後検討する。
 ラインアップの拡充にあたって開発体制も強化する。1月から技術者らの中途採用を始めており、約250人いる社員数を中長期的に2倍の500人に増やす。3車種で車台を共通化してコストを抑え、開発スピードも速める。
 ソニー・ホンダが車種を拡充する背景には、EV市場の競争環境の変化がある。2010年代はテスラの存在感が大きかったが、20年代に入って中国、ドイツ、韓国勢などが本格的に参入。低中価格帯に強い中国比亜迪(BYD)なども世界で存在感を高めている。
 テスラも巻き返しのため、主力の米国や中国で値下げに踏み切った。アフィーラのセダンの価格帯は明らかにしていないが、「高付加価値EV」(同社)と位置づけ1000万円以上になるとの見方がある。ソニー・ホンダも高級車種だけでは、混戦する市場に割っては入れない。
 世界のEV販売は足元で減速感があるものの中長期的には拡大。英調査会社グローバルデータによれば、23年の販売台数は約1080万台で新車全体の12%を占めた。

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IEA、インド加盟交渉開始で合意 エネ協力拡大

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  2ページ  428文字  PDF有  書誌情報

 【パリ=北松円香】国際エネルギー機関(IEA)は14日、インドと加盟交渉開始で合意した。パリで開催した閣僚理事会で同日、交渉開始を盛り込んだ合意文書を採択した。エネルギー消費が急拡大するインドを取り込み、安定供給や脱炭素戦略で協力をめざす。
 IEAは同日「エネルギーや気候変動の課題に取り組む上でインドの戦略的重要性を踏まえ、加盟国は協議開始で合意した」と声明を公表した。
 IEAは2021年にインドと「戦略的パートナーシップ」で合意するなど関係を深めてきた。日本や米国、フランス、オーストラリアなどがインドの加盟に支持を表明しており、交渉開始の環境が整った。実現すれば日本、韓国に続くアジアからの加盟国になる。
 新興国経済の発展に伴い、エネルギー市場ではIEA非加盟国の存在感が増す。2019年には非加盟の中国、インド、ロシア、ブラジルの4カ国で世界の電力消費のおよそ4割を占めた。インドとの加盟交渉はIEAがその他の新興国とも協力を広げる契機になる。

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ローカル線はどこまでも(3) 「やり方変えんとあかん」(迫真)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  2ページ  998文字  PDF有  書誌情報

 福岡市内と郊外を結ぶ全長25.4キロのJR香椎線。1月下旬、2両編成の列車がひとりでに加速し、目的の駅で静かに停車した。運転席には車掌の石橋択斗。運転士免許はない。操作はせずに前方へ目を光らせていた。
 JR九州の訓練風景の一コマだ。3月、同線の全便で自動運転の営業運行に乗り出す。1981年に神戸新交通(神戸市)の「ポートライナー」が自動運転を始めて以降、人や車が立ち入る踏切のある区間で運転士なしの運行は国内初となる。
 加減速や停車はシステムで制御し、非常時の緊急停止などを石橋ら「自動運転乗務員」が担う。6段階ある国の自動運転レベルで上から3番目の「GoA2.5」に当たる。
 安全性は実証済みだ。客を乗せた試験運行で2020~23年に計約54万キロを走り、緊急停止は89回。駆け込み乗車などが主因で、狙い通りに止まれなかった例はない。「自動運転? 気づかんかった」。旅行で偶然乗った「乗り鉄」が感心したほどだ。
 導入の背景には人口減少がある。運転士が不足すれば、乗客の少ないローカル線は影響を受けやすい。23年には福井鉄道(福井県越前市)が一部列車の運行をやめるなどした。
 自動運転が広がれば、公共交通持続の解の一つになり得る。JR九州は本格運営に備え、23年末から10人以上の車掌経験者を自動運転乗務員として育成している。
 「これから厳しくなる。鉄道のやり方を変えんとあかんのちゃうか」。南海電気鉄道会長の遠北光彦も人手不足に危機感を強める。同社は23年8月、和歌山市内で自動列車運転装置「ATO」の試験走行を始めた。
 精度は上々で、停止回数1000回超のうち97%は定位置の前後1メートルに収まっているという。現在は乗り心地の改善中だ。
 自動運転は国も期待を寄せ、18年以降に技術検討会などを開いてきた。実用化は広がるか。東京大学教授の古関隆章は「一定の乗客はいるが都市部ほどの大規模投資はしにくい『(都会と田舎が共存する)とかいなか』では一定の合理性があり、広がりを期待したい」。そのうえで「ローカル線での導入には費用負担の大きさが壁になる」とみる。
 従来より安価な自動運転システムを開発したJR九州でも、採算面のハードルは残る。ローカル鉄道が抱える人手不足解消のためには、一層のコストダウンが欠かせない。
(敬称略)
【図・写真】JR香椎線の自動運転乗務員の訓練風景(1月、福岡市東区)

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この診療報酬改定では改革が進まない(社説)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  2ページ  941文字  PDF有  書誌情報

 医療機関が受け取る診療報酬の2024年度改定の内容が決まった。医療従事者の賃上げなどを目的に基本報酬が軒並み引き上げられる一方、ムダを省いて筋肉質の医療体制にする視点は乏しい。制度の持続性が心配になる。
 今回の改定は賃上げ対応が大きな柱となる。政府は診療報酬本体の改定率を0.88%増とする方針を23年末に決定。厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)がこの枠内で医療行為ごとの報酬配分を審議していた。
 14日に答申された改定内容によると、外来、入院ともに基本的な報酬が上がる。最初の外来受診でかかる初診料は30円増の2910円、2回目以降の再診料も20円増の750円にそれぞれアップする。入院1日あたりの基本料も大学病院の一般病床の場合で1万8220円と1040円増える。
 幅広い患者を対象とする「ベースアップ評価料」という加算もできる。看護師、理学療法士、検査技師ら医師以外の専門職の賃上げ原資にするもので、受診先の人員状況に応じた額が初・再診料や入院基本料に上乗せされる。
 物価高に負けない賃上げが必要なのは、医療従事者も例外ではない。ただ国民負担が原資となるので、報酬が賃上げにきちんと使われたか否かの検証が不可欠だ。
 特に40歳未満の医師や事務職員の賃上げは、使途が限定されない初・再診料や入院基本料の中で対応することになっている。すべての医療機関に院長を含む職種別給与の報告を義務付けて賃金の変化を把握すべきだが、こうした議論は後回しになっている。
 23年度に約48兆円と見込まれる医療費は高齢化で今後さらに膨らむ。原則3割を支払う患者の負担増だけでなく、高齢者医療を支える現役世代の負担も重くなる。効率化は待ったなしの課題だが、今回の改定での対応は乏しい。
 医療を効率化する仕掛けを診療報酬に導入すべきだ。例えば1日あたりで算定している入院報酬を病気ごとに1入院あたりの定額とすれば、病院は必要以上の入院や検査を抑えるようになる。外来もかかりつけ医の登録制など重複受診を防ぐ策を考えるべきだ。
 診療報酬の設定では加算というインセンティブで医療機関を誘導する考え方が強いが、それでは高齢化対応として不十分だ。医療の構造そのものに切り込む真の改革に取り組んでほしい。

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国際化体現した世界のオザワ(社説)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  2ページ  812文字  PDF有  書誌情報

 世界の舞台でどう自分を表現するか。6日に88歳で亡くなった指揮者の小澤征爾氏は、音楽を通して国際化の意味を問い続けた。1959年に23歳で渡欧。「東洋人にバッハがわかるのか」といった偏見をはねのけ、西洋音楽の本場で地位を築いた日本人の先達だ。
 貨物船で欧州を目指したその年に仏ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。名指揮者のカラヤン、バーンスタインの目にとまり、飛躍のチャンスをつかんだ。60年代に米国最高峰と称されるシカゴ交響楽団、ウィーン・フィルを初めて指揮する。カナダのトロント交響楽団を経て、73年にボストン交響楽団の音楽監督に就任した。
 「セイジの棒は非常に明瞭だ」。奏者たちは小澤氏の指揮をこう受け止めたという。日本人の目で西洋音楽を精緻に分析し、指揮法とした恩師の斎藤秀雄のメソッドが基礎となる。情熱的な身ぶりをまじえ、自分のつくりたい音楽をどんな国籍の奏者にもわかりやすく伝える手法へと洗練させた。人懐こい性格で「これまでにないスタイルを確立」(仏ルモンド紙)と本場で評価されるゆえんだ。
 現代音楽の名演も残した。ボストン交響楽団は、小澤氏が音楽監督を務めた29年間でオリビエ・メシアン、武満徹ら各国の作曲家に44作品を委嘱したと追悼文で紹介した。欧米や日本、中国で公演、交流・教育イベントを重ね、米国の老舗楽団に新風を吹き込んだ。
 日本のクラシック音楽界は少子高齢化が進むなか、資金の調達先やファン層の拡大という課題に直面する。日本人は国際化や多様性の重要性を理解している。一方で「日本のやり方」に固執する傾向があると小澤氏は危惧していた。古い慣習にとらわれない柔軟な発想が求められているのは、音楽業界にとどまらないだろう。
 近年、日本でも東南アジア出身者や女性の指揮者を迎える楽団が現れた。後進を育て、国を超えた人的ネットワークを築いた「世界のオザワ」。取り組みの進化をじっと見守っているにちがいない。

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人材確保、労使とも賃上げに強気 早期妥結も 日産、最高の1.8万円要求/ホンダ、32年ぶり2万円台

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  3ページ  1621文字  PDF有  書誌情報

 自動車大手の労働組合が14日、2024年春季労使交渉の要求書を会社側に提出した。要求水準として日産自動車労働組合が過去最高の月1万8000円、ホンダ労組も32年ぶりの高水準を掲げるなど強気の姿勢が目立つ。労使交渉が本格化するなか、好業績と人材獲得競争の激化を背景に経営側も高い賃上げ意向を示し、早期妥結の流れも強まっている。
 日産自動車労組は基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給に相当する賃上げ原資として月1万8000円を要求し、前年から6000円引き上げた。現在の賃金体系を導入した05年以降で最高水準となる。
 本田技研労働組合はベア1万3500円を含む月2万円を要求した。23年より1000円引き上げた。1992年(2万2000円)以来の水準で年間一時金は過去最高の7.1カ月分とした。
 14日に記者会見した自動車総連の金子晃浩会長は「日本経済をけん引する水準感で獲得してほしい」と指摘。その上で「組合の成果が、組合に入っていない非正規の方や取引先に広げられるかがポイントだ」と述べた。
 自動車業界では好業績を背景に賃上げ余力が高まっている。法人企業統計によると、自動車分野の大企業の売上高に占める人件費比率は23年4~9月期に8.9%で10年前に比べ1.3ポイント下落。賃上げ原資を捻出しやすい環境が整っている。
 大手各社は高い賃上げを実現するため、製品値上げなどの手を打ってきた。
 トヨタ自動車は北米市場を中心に値上げ戦略が奏功。24年3月期の値上げ効果は9900億円を見込む。日産自動車も23年4月以降、国内販売車種の値上げを進める。人気多目的スポーツ車(SUV)の「エクストレイル」などで最大10%の値上げを実施した。
 製造業の賃上げ余力は高まっている。東証プライムに上場する3月期決算の製造業(親子上場の子会社や変則決算など除く)の23年4~12月期の純利益の合計(13日時点、約470社)は、前年同期比22%増の16兆5938億円となった。四半期決算が始まって以降で過去最高を記録した。
 産業界全体に目を向けると24年春季交渉では、経営側が早期に高い賃上げの意向を示しているのが特徴だ。野村証券の2月上旬時点の集計によると、23年11月以降の賃上げ表明は大企業約45社にのぼり、前年同時期の約2倍で推移する。
 三井金属は14日、管理職を除く正社員を対象に月2万円のベアを4月に実施すると発表した。労組からの要求を5000円上回った。要求受け取りから1週間たっておらず異例の早期妥結だ。
 コジマは2月初旬、労組の要求提出に先駆けて過去最高の平均8.8%の賃上げを、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも平均約6%の賃上げをそれぞれ明らかにした。経営側が先手を打つ動きが加速している。
 背景にあるのが、景気好転で一段と深刻化する人材不足だ。帝国データバンクによると、23年12月時点で、正社員の人手不足を感じる企業は53%で新型コロナウイルス禍以降で最高となった。
 物流・建設業界では24年4月から時間外労働の上限規制が適用され、他産業も含めて人手不足感は足元でより高まっている。
 23年12月に日本経済新聞が実施した「社長100人アンケート」で、24年度の人件費総額が23年度に比べ「増える」とした企業は76社で全体の8割弱いた。4%以上増えるとした回答は4割強を占めなかには7~9%台を見込む企業もいた。主要企業は値上げの浸透を見越し、人件費の増加をいとわない賃上げ戦略にかじを切っている。
 NECの森田隆之社長兼最高経営責任者(CEO)は「総人件費で見て23年の3%よりもっと上の水準で、引き上げの議論をする」と強い意欲を示す。
 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は「大企業は23年の賃上げで人件費増を値上げで吸収できる『成功体験』を得た。人件費は増やせるという認識が広がってきた」と話す。

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開業医の改革道半ば 診療報酬改定 医療費の国費負担12兆円 200億円抑制、生活習慣病が軸

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  3ページ  1257文字  PDF有  書誌情報

 2024年度の診療報酬改定に伴う個別サービスごとの見直し内容が14日、まとまった。医療従事者の賃上げを進める一方で、国費ベースで12兆円に膨らむ医療費の抑制は不十分な内容となった。開業医らが慎重姿勢を示していた生活習慣病の報酬の抑制に手をつけたものの、医療費全体の抑制額は200億円ほどにとどまる。
 「全部が難しかった」。武見敬三厚生労働相は正反対の方向感が入り交じった今回の改定をこう振り返る。賃上げや物価高が報酬積み上げの根拠となる一方、制度の持続性を高めるための歳出抑制も必要になるためだ。
 同日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)でまとまった改定内容では、医療サービスの対価にあたる「本体」の増額幅0.88%のうち、0.61%分を賃上げ関連に充てた。改定は6月から反映する。
 産業界の賃上げ機運を受け、薬剤師や理学療法士など幅広い職種の処遇改善を進める。このために医療機関は初診時に60円、再診時に20円を加算できるようになる。
 加算を受けるには賃上げの実績や計画づくりが必要で、全ての医療機関の賃上げにはつながらない可能性がある。そのため厚労省は幅広い処遇改善につなげるため、初診料や再診料そのものも報酬を引き上げた。上げ幅は初診料は30円、再診料は20円だ。
 初診料は消費税の増税時を除くと20年ぶりの引き上げとなる。引き上げ分の使い道は医療機関の裁量で決まるため実効性に疑問も残る。厚労省はどの程度賃上げに充てたか報告を求める方針だ。
 全体の医療費は膨張し続け、23年度は予算ベースで48兆円と10年前の1.2倍にのぼる。財源の5割は保険料が占め、残りの4割は税金、1割を患者の窓口負担で賄う。負担は現役世代に偏っており、年金や介護も合わせた現役世代の社会保険料率は30%に迫る。
 今回の見直しでは開業医の収入に大きな影響が見込まれる生活習慣病関連の報酬にメスを入れた。生活習慣病の患者は高齢化に伴って増え続けており、医療費の抑制で現役世代の負担を軽減する狙いだ。
 まず医療機関が生活習慣病の患者を診たときに得られる収入の対象から糖尿病、高血圧、脂質異常症を外した。代わりとなる別の報酬を設けたが、月1回以上の通院を求める現行の要件は廃止して過度の通院も抑える。ただ医療費全体の抑制分は国費ベースで200億円ほどとごくわずかだ。
 開業医らが経営する診療所の経営状況は良好だ。厚労省の調査では22年度の損益率は新型コロナウイルス関連の補助金を除くと12%の黒字だった。病院は6.7%の赤字だ。給与の格差もある。国公立や民間を含む病院全体の勤務医の平均年収は1461万円だが、診療所の医療法人の院長は2652万円にのぼる。
 慶応大の土居丈朗教授は賃上げを重視した面は評価しつつ、「病院勤務の人材に賃上げの原資が行き渡るよう、報酬の点数の振り分け方を検討すべきだった」と指摘する。「診療所を含めた医療機関がある程度横並びで利益を確保できる改定」で、メリハリある改革とはいえないとの分析だ。

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開業医の改革道半ば 診療報酬改定――介護と連携、施設往診に加算

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  3ページ  656文字  PDF有  書誌情報

 2024年度は診療・介護の両報酬の同時改定の年にあたり、医療と介護の連携の質の向上を後押しする見直しが多く盛り込まれた。
 600万人ほどの団塊の世代が後期高齢者入りする25年以降、医療需要は急増する。政府の推計では医療費は40年度に足元からおよそ5割増の70兆円に膨らむと見込まれる。医療と介護の両分野でのサービスの質の向上と効率化の両立は不可欠だ。
 住み慣れた高齢者施設などで医療的なケアが受けやすくなれば、状態の悪化を防ぐことにつながる。今回の改定では施設の入所者の往診や入院を受け入れた医療機関への報酬を新設する。平時から施設と連携する医療機関の医師が診察して入院させた場合には、最大6千円分の加算をつける。
 より費用がかさむ病院に入院する事態も防げる可能性がある。生活の質を保つことにもつながる。
 介護報酬では、協力医療機関をあらかじめ指定することが高齢者施設に義務付けられた。中度から重度の病気を持つ入所者が増えると見込まれる中、医療面での対応力を強める狙いだ。
 医療と介護の連携を進める上での最大の課題は介護側の人手不足だ。厚生労働省によると22年は離職した人が新たに働き始めた人を上回り、就労者が前年より1.6%減った。「医療も人手不足だが結局は業界内にとどまる。介護は他産業に流出するので不足のステージが違う」と厚生労働省の幹部は指摘する。
 介護も医療と同様に費用の増加が見込まれる。だが自己負担を2割とする対象者を広げる制度改正がたびたび見送られるなど財政面でも制度の持続性が危ぶまれている。

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開業医の改革道半ば 診療報酬改定――DX遅れ、マイナ保険証の利用4%

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  3ページ  433文字  PDF有  書誌情報

 今回の改定では、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも重点を置いた。デジタル化のカギとなるマイナ保険証の利用率は2023年12月時点で4.29%と浸透していない。マイナ保険証に対応する医療機関への報酬を手厚くするなどして、医療のデジタル化と医療の質の向上につなげる。
 患者がマイナ保険証を使って医療機関を受診すれば、患者の同意を前提に過去の投薬情報などを医師と共有できる。問診などの手間が省けるほか、正しい履歴情報に基づく医療を受けられる。
 改定では、診察時にマイナ保険証で読み取る医療情報を活用できる医療機関が初診時に80円を加算できるようにした。24年10月からはマイナ保険証の一定の利用実績を求めるほか、25年10月からは電子カルテで情報共有することを条件とする。
 費用面でもマイナ保険証での受診を促す。3割負担の人がマイナ保険証で受診した場合には3円、紙の保険証では9円を窓口で支払う。支払額に差をつけて、マイナ保険証の利用率の向上を図る。

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人材確保、労使とも賃上げに強気 早期妥結も――中小の36%、賃上げ「3%以上」の意向 日商調べ

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  3ページ  322文字  PDF有  書誌情報

 日本商工会議所は14日、2024年度の中小企業の賃上げや人手不足に関する調査結果を発表した。賃上げ率を「3%以上」とする企業の割合は36.6%で前年から3.1ポイント増えた。業績が改善しない中で人手確保などを目的に賃上げする企業が目立つ。
 1月に全国の中小を対象に調査し、2988社から回答を得た。
 賃上げは「実施予定」の企業が61.3%で前年から3.1ポイント増えた。賃上げの項目は基本給を底上げするベースアップ(ベア)が49.1%で前年から8.3ポイント上がった。
 人手が「不足している」とした企業は65.6%で前年から1.3ポイント上がった。従業員の引き留めなどを目的に、業績の改善が見通せない中で「防衛的賃上げ」をする企業も6割ある。

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小粒上場 個人に株主偏り、調達の壁(きょうのことば)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  3ページ  422文字  PDF有  書誌情報

▽…時価総額が小さいまま上場すること。資本力のある機関投資家の投資対象になりにくく、株主が個人に偏る傾向がある。売買が薄くなると新株発行による資金調達も難しくなり、成長を加速できない悪循環に陥る。
▽…新興企業が上場する東京証券取引所のグロース市場の新規株式公開(IPO)時の平均時価総額は2022年に101億円と、米国(当時のレートで約2300億円)に比べて規模が小さい。米CBインサイツによると米国で企業価値が10億ドル(約1500億円)以上の非上場企業を指す「ユニコーン」は23年10月に約650社と世界の過半を占めるが、日本は7社にとどまる。
▽…小粒上場を減らすには上場予備軍に機関投資家や富裕層の資金を呼び込む必要がある。早期のIPOは創業者や新興企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)の資金回収の側面も強い。非上場の段階でもVCなどが資金を回収しやすい流通市場の創設も必要だ。東証はグロース市場の上場基準の引き上げも検討している。

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ウクライナ復興、企業参加へ覚書 クボタ・川重など協力締結へ 政府、渡航容認で後押し

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  1321文字  PDF有  書誌情報

 19日に都内で開く日ウクライナ経済復興推進会議で、両国の官民が複数の協力文書を結ぶ方針だ。クボタやヤンマーホールディングス(HD)による農業分野、住友商事と川崎重工業によるガス輸送の近代化の支援を見込む。日本政府は戦地での事業のリスク低減で後押しする。
 会議は両国政府と経団連、日本貿易振興機構(ジェトロ)が共催する。ウクライナからシュミハリ首相を招き、岸田文雄首相が基調講演する。ゼレンスキー大統領のビデオメッセージも予定する。
 ロシアがウクライナに侵攻して24日で2年がたつ。ウクライナはインフラや主要産業の農業などに損害が出て、対外債務も膨らむ。早期に経済復興の見通しを立てることが欠かせない。
 日本側は会議で民間による復興協力を打ち出す。クボタやヤンマーは農業の収量や生産性向上のため、農業機械の協力でウクライナ農業食料省と覚書を予定する。
 橋梁事業などを営む駒井ハルテックはウクライナ国営のガス会社の施設に風力発電設備を導入する。
 住友商事と川崎重工業はウクライナ国営ガス輸送システム運営会社(GTSOU)と連携を探る。コンプレッサーステーションと呼ばれるガス輸送の圧縮機を近代化するための調査を検討する。
 楽天グループは子会社の楽天シンフォニーがウクライナの通信事業者「キーウスター」の親会社VEON(ビオン)と基本合意書を結んだ。高速通信規格「5G」の提供へ基盤整備を進める。
 日本政府はウクライナでの企業の展開を支える体制を整える。
 ジェトロが首都キーウ(キエフ)に事務所を置く。日本貿易保険(NEXI)は欧州復興開発銀行(EBRD)と協調融資に向けた情報共有の枠組みをつくる。ウクライナの輸出信用機関(ECA)とも再保険を含めた協力で合意する。
 両政府で改正交渉してきた租税条約を結ぶ見込み。配当や利子、使用料といった投資所得への税率を米欧並みに下げる。
 戦闘が続くウクライナを巡っては外務省が渡航情報で最も危険レベルが高い「退避勧告」を全土に出している。多くの企業はこの情報に基づいて社員の出張の可否を判断しており、渡航に踏み切れない壁になっている。
 政府は危険レベルを維持しつつ、支援に携わる企業の社員は特例的に渡航を認める。キーウに限り、最長1週間ほどの滞在を容認する案がある。
 ウクライナで自衛隊などが保護にあたる体制はない。ウクライナ当局から企業が情報提供を得られる橋渡しといった外交上の環境を整備する。
 外務省幹部は「復旧・復興でどうしても行きたい人には事前に相談してもらい、安全確保策などをアドバイスできるようにしたい」と話す。
 欧州や韓国などの企業は復興事業で日本勢に先行する。
 欧州勢は自国政府と一体で復興事業に乗り出す例が相次ぐ。アイルランドの建材メーカー、キングスコートは同国政府の支援を受け、生産拠点の立ち上げなど総額2億8000万ドル(およそ420億円)を超す投資計画を推進する。
 ドイツの建材メーカー、フィクシットはウクライナ西部リビウに第2工場を設けた。独政府の投資保証を踏まえ機能を拡張した。
 韓国企業は隣国ポーランドに拠点を設け、ビデオ会議などでウクライナ当局とやりとりするケースがある。

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還流「脱税」疑い、野党が調査要求 自民85人不記載で 首相、外部監査の法整備に意欲

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  975文字  PDF有  書誌情報

 衆院予算委員会は14日、自民党派閥による政治資金問題を受けて集中審議を開いた。派閥パーティー収入の還流を巡り野党は「脱税」の可能性があると追及し、税務調査を重ねて求めた。岸田文雄首相(党総裁)は派閥を含む政治団体に外部監査を義務づける法整備に意欲をみせた。
 政治資金規正法は国会議員の資金管理団体などに外部監査を義務づける。派閥は「その他の政治団体」のため対象外だ。
 首相は外部監査を伴う「国会議員関係政治団体」に派閥を位置づける方法に言及した。会計責任者が逮捕・起訴された場合に議員本人を処分できるようにするため、3月の党大会で党則を改正する方針も示した。
 自民党は13日に党所属の全国会議員のアンケート結果を公表した。2018~22年に政治資金収支報告書への不記載があったのは計85人で、総額はおよそ5億8千万円にのぼった。
 野党はこれらの資金について脱税の疑いがあると訴えた。立憲民主党の藤岡隆雄氏は「脱税の疑いを多くの国民が持っている」と強調した。
 政治資金は原則非課税で、派閥からの政治資金パーティー収入の還流が議員の政治団体の収入と認定されれば課税対象にはならない。
 一方で議員本人の収入とみなされれば、政治活動への支出を差し引いた分は個人の「雑所得」として扱い所得税の課税対象となる。
 与党からも収支報告書への不記載があった議員を調査し、適正な納税を求める声が出た。
 自民党の上野賢一郎氏は「個人所得とみなされる場合は党としても早急な修正申告を指示し、納税させる対応が必要だ」と唱えた。
 野党は首相に国税当局への税務調査の指示を求めたものの、首相は「税務行政の中立性」などを理由に慎重な姿勢を崩さなかった。
 政党が幹部らに支給する政策活動費も使い切らずに余った分は雑所得として課税対象になる。
 立民の井坂信彦氏は自民党の甘利明前幹事長が幹事長在任中のおよそ1カ月間に3億8000万円の政策活動費を受け取ったと指摘した。「24時間、時速45万円でお金を使い続けなければならない」として使い残した可能性があると追及した。 税制に詳しい青山学院大の三木義一名誉教授は「国税当局の政治家への対応は甘い。今回本気で調査に乗り出さなければ市民の納税への意識が壊滅的になりかねない」と警鐘を鳴らす。
【図・写真】衆院予算委で答弁する岸田首相(14日)

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首相在任864日、戦後10位 宏池会・鈴木善幸氏に並ぶ

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  737文字  PDF有  書誌情報

 岸田文雄首相の在任日数が14日、自民党宏池会(岸田派)の鈴木善幸元首相の864日に並んだ。戦後の首相35人中の10位、宏池会が輩出した首相5人中の2位になった高揚感はない。自ら派閥を解散し、力学が一変した秋の総裁選に臨む。
 「善幸さんは会ったことはあるが、それほど接点はなかった」。首相はこう振り返った。1990年に政界を引退した鈴木氏と93年初当選の首相は国政での活動期間が重なっていない。鈴木氏と並んだことへの感慨はさほど抱いていない。
 宏池会出身の首相の在任日数は23年4月に大平氏、同7月に宮沢喜一氏を抜いた。このときは両氏の記録について「そこも目指して頑張りたい」と発言していた。
 違いは鈴木氏との関係性だけではない。宏池会の解散を決めて派閥を中心に組み立ててきた考え方にも変化が出ている。
 首相は政治資金問題を受けて岸田派の解散を表明した。これに安倍、二階、森山各派が続いた。派閥を基礎とした計算は難しくなり、再選をめざす9月の党総裁選の戦略は修正せざるを得ない。
 「総裁選はいつも派閥単位だったわけではない。再チャレンジ支援議員連盟というのがあったよな」。首相が最近、思い起こしたのは2006年総裁選だ。安倍晋三氏が派閥横断の議連を足場に勝利を収めた。
 派閥解消で政策や個人的なつながりを軸とした戦いの比重がこれまで以上に増す。内閣支持率は3割を下回る低水準が続き、世論調査で「次の総裁にふさわしいのは誰か」を聞く質問でも首相は上位5人に入らない。
 首相は総裁選への対応について慎重な返答を続けている。「政治の信頼回復に最優先で取り組まなければならない。その先のことは考えていない」と繰り返す。党の信頼を回復しなければ自らの再選戦略も描けないとの思いがある。

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ウクライナ復興、企業参加へ覚書――米国の外国支援、トランプ氏「原則融資に」 対ウクライナ、条件に浮上か

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  481文字  PDF有  書誌情報

 【ワシントン=坂口幸裕】米共和党のトランプ前大統領は米政府の対外国支援を返済義務が生じる融資に限定すべきだと表明した。反対してきたウクライナ追加支援の条件に浮上する可能性がある。
 米連邦議会上院は13日、ウクライナやイスラエル支援、インド太平洋地域向けの総額953億ドル(約14兆円)の緊急予算案を賛成多数で可決した。下院は多数派を握る野党・共和党トップのジョンソン議長が反対を示唆しており、成立のメドは立っていない。
 前大統領は10日、自身の交流サイト(SNS)で「これからの対外援助は無償でなく、融資にしない限りはいかなる国にも実施すべきではない」と主張した。
 仕組みについて「無利子、無期限のような好条件は可能だが、それでも融資だ」と提起した。「援助した国が敵対的になったり豊かになったりすれば返済されるべきだ。返済義務や条件がないままこれ以上お金を与えてはならない」と訴えた。
 共和党には前大統領に賛同する声が出ている。リンゼー・グラム上院議員は13日、採決で反対した緊急予算案についてX(旧ツイッター)で「融資にするトランプ案を支持する」と投稿した。

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令和臨調に賛同の超党派議員、政治改革・財政で提言へ

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  367文字  PDF有  書誌情報

 民間有識者らの政策組織「令和国民会議(令和臨調)」に賛同する超党派の国会議員は政治改革などの提言をまとめる。与野党議員80人超が「統治構造・政治改革」など4部会に分かれて所属し、1年をかけて提言のとりまとめを目指す。
 令和臨調が14日に都内で開いた会合で明かした。3月中をめどに各部会の初会合を予定する。
 「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」は自民、立憲民主、日本維新の会、公明、国民民主5党の有志議員が参加する。
 部会は統治構造・政治改革のほか「経済・財政・社会保障」「人口減少・地域・国土構想」「科学技術・イノベーション」をそれぞれ設ける。統治構造・政治改革で選挙制度の議論も見込む。
 超党派会議は自民党の小渕優子選挙対策委員長らが代表世話人を務める。大島理森元衆院議長と立民の野田佳彦元首相が特別顧問に就いた。

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首相、来月20日訪韓調整 シャトル外交、昨年5月以来

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  320文字  PDF有  書誌情報

 岸田文雄首相は3月20日に韓国を訪問し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談する調整に入った。2023年に再開で合意した両首脳が相手国を相互に訪れる「シャトル外交」の一環で、実現すれば同年5月に両首脳が行き来して以来となる。
 両首脳は核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応などを協議する見通し。直近の日韓首脳会談は23年11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせて米サンフランシスコで開いた。
 3月20日はソウルで米大リーグの大谷翔平選手が所属するドジャースの開幕戦がある。両首脳が試合を観戦する案もある。韓国は4月に総選挙を控える。徴用工問題の解決策を示し、日本との関係改善を主導してきた尹政権に批判的な意見がある。

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還流「脱税」疑い、野党が調査要求 自民85人不記載で――衆院政倫審の幹事懇、あす開催

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  253文字  PDF有  書誌情報

 与野党は衆院政治倫理審査会の幹事懇談会を16日に開く方針だ。自民党派閥による政治資金問題を受け立憲民主党などが安倍派幹部らの説明を求めてきた。政倫審の開催の可否や出席者について協議する。
 岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、政倫審に関し「国会審議のありようは国会で決めていただく」と述べるにとどめた。
 政治資金問題に関与した議員へは「説明責任を果たすよう本人に働きかけている」と明らかにした。議員の処分を巡っては「本人の説明責任のありようを踏まえ、政治責任、処分なども党として考えていく」と強調した。

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人事希望の申告、自民が制度検討 データベース化で

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  199文字  PDF有  書誌情報

 自民党の政治刷新本部は14日、党機能などの強化策を議論する作業部会の初会合を開いた。派閥が担ってきた人事機能を党本部に移すのにあわせ、所属議員の人事情報を集約するデータベースのほか議員が希望を申告できる仕組みを検討する。
 作業部会の事務局長を務める小林史明氏が会合後、記者団に説明した。党の機能を強めると党幹部に権限が集中する懸念もある。
 小林氏は「議員を萎縮させないよう整理したい」と強調した。

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首相在任864日、戦後10位――局面打開の解散、首相「考えていない」

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  110文字  PDF有  書誌情報

 岸田文雄首相は14日、自民党派閥の政治資金問題を受けて政権運営の局面を打開するための衆院解散について発言した。衆院予算委員会で「政治の信頼回復とともに目の前の課題に専念する。その先については何も考えていない」と述べた。

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二階氏、3年間で書籍購入3470万円 内訳公表(短信)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  128文字  PDF有  書誌情報

 自民党の二階俊博元幹事長は14日、自身の資金管理団体が2020年からの3年間で計3470万円分の書籍を購入していたと明らかにした。二階氏の事務所が領収書や振込伝票とあわせ書籍名を公表した。自身の政治家人生をつづった書籍は5千冊分を1045万円で購入した。

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立民と国民民主、トリガー解除協議見送り(短信)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  113文字  PDF有  書誌情報

 立憲民主党の泉健太代表は14日、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の凍結解除に関する国民民主党との協議が見送りになったと明らかにした。今国会で法案を共同提出することを目指し、週内にも党首間で話し合う考えを示していた。

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2月14日(首相官邸)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  113文字  PDF有  書誌情報

▽6時 公邸で村井官房副長官。
▽7時32分 官邸。37分 村井副長官。
▽8時49分 国会。58分 衆院予算委員会。
▽12時42分 小渕選対委員長、木原幹事長代理。
▽13時 衆院予算委。
▽17時5分 官邸。
▽19時23分 公邸。

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維新、衆院東京15区補選に新人公認(短信)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  4ページ  90文字  PDF有  書誌情報

 日本維新の会は14日、4月の衆院東京15区補欠選挙に新人の金沢結衣氏を公認すると発表した。同補選は東京都江東区長選を巡り公職選挙法違反の罪で起訴された柿沢未途前議員の辞職に伴う。

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GX債、熱狂なき滑り出し 最高利回り0.74% 「緑のプレミアム」で利回り低下も、市場期待には届かず

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  1431文字  PDF有  書誌情報

 財務省は14日、脱炭素資金を調達する「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」の10年債入札を初めて実施した。環境への貢献度の高さを重視して利回りが低く(価格が高く)なる「グリーニアム」は発生したが市場の予想ほどにはならず、過熱感のない滑り出しとなった。
 最高落札利回り(複利)は0.740%と、流通市場における通常国債の利回りを0.005%下回った。「緑のプレミアム」ともいえるグリーニアムは入札結果が出る直前の市場予想(0.06%程度)には届かなかった。
 高値(低い利回り)で応募する金融機関が少なかったことを意味する。
 GX経済移行債は2050年の温暖化ガスの排出実質ゼロの実現に向け、政府が企業の脱炭素の取り組みを支援する資金を調達するため発行する新しい国債だ。23年度は総額1.6兆円を発行し、10年間で20兆円規模の発行を予定する。
 林芳正官房長官は14日の記者会見で「関係省庁からは入札結果などを総合的に見て幅広い投資家から一定の理解は得られたのではないかと聞いている」と述べた。
 今回は発行予定額8000億円に対し、金融機関から2兆3212億円の応札があった。
 東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「グリーニアムが確認された点は次回以降の入札に向けて好材料だが、事前の高い期待ほどは需要が集まらなかった」と分析する。27日にも5年債で8000億円の入札を予定する。
 14日は発行規模が小さく、流動性の低下への懸念があったとみられる。
 13日発表の1月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、米国の長期金利が23年12月以来の高水準を付けた。国内でも金利が一段と上昇すればGX債の価格が下落し含み損を抱えかねないため、積極的な購入が限られた面もある。
 今回GX債の購入に動いたのは日本生命保険やかんぽ生命保険など、国内の主要投資家が中心のようだ。BNPパリバ証券の中空麻奈グローバルマーケット統括本部副会長は「欧州勢の一部は依然として厳しい見方をしている」と話す。
 10年間で20兆円規模の発行を円滑に進めるためには海外勢の本格的な参入がカギとなるが、課題も多い。
 海外では太陽光や風力といった再生可能エネルギーの発電などに使途を限る「グリーンボンド(環境債)」が普及する。日本の場合は化石燃料主体の経済・社会構造からの移行を目指す「トランジションボンド」で、別の位置づけになる。
 海外投資家が気にするのは国債で調達した資金の使い道だ。
 支援対象には国際的に評価が分かれる石炭火力のアンモニア混焼などの技術も含まれ、海外からは「石炭火力の延命」との批判的な見方がある。海外投資家からは見せかけの環境対応にすぎない「グリーンウオッシュ」だとの疑念がたえない。
 財務省と経済産業省は疑念を払拭するため1月中旬から欧米で投資家向け広報(IR)に乗り出した。23年度に発行する1.6兆円の使途から「燃料アンモニア事業」を外したが、海外投資家による懸念が解消されるかは不透明だ。
 SMBC日興証券の浅野達シニアESGアナリスト兼科学技術アナリストは「一般的に石炭火力の脱炭素事業は国際資本市場協会(ICMA)の環境債の資金使途に含めない」と指摘している。
 浅野氏はGX移行債の浸透には「適切なプロジェクトの支援対象になっているのか投資家がしっかりとモニタリングできるようフォローアップされるかどうかがポイントになる」と語る。

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GX債、熱狂なき滑り出し 最高利回り0.74%――水素などへ10年20兆円 次世代技術の確立支援 企業、長期投資しやすく

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  558文字  PDF有  書誌情報

 政府はグリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債で調達する資金を呼び水に官民あわせて10年間で150兆円超の脱炭素投資につなげる。2050年の温暖化ガス排出の実質ゼロの達成には新たに確立する技術が必要で、長期の政府支援により企業が投資しやすい環境を整える。
 総額20兆円のうち13兆円は大まかな使途が決まっている。脱炭素燃料として期待される水素の普及に向けて15年間で3兆円を投じ、天然ガスなど既存燃料との価格差を補う。鉄鋼や化学など製造業の脱炭素に10年間で1.3兆円を充てる。
 電気自動車(EV)向けの中核部材である蓄電池や、太陽光、洋上風力発電など再生可能エネルギーの国内供給網の整備にも資金を振り向ける。日本製鉄やホンダ、トヨタ自動車などが具体的な支援先となる。
 GX債の償還財源は、企業の二酸化炭素(CO2)排出に課金するカーボンプライシングの2つの手法を使う。
 まず28年度から化石燃料の輸入企業に排出量に応じた賦課金を求める。
 33年度からは排出量取引制度で電力会社にCO2排出枠を買い取ってもらうようにし、それを償還財源にする。
 いずれも具体的な制度設計はこれからだ。企業の負荷が毎年どの程度になるかや、負担を求めることが排出削減につながるか、無理なく必要額を集められるかなどの課題がある。

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日本郵政、純利益41%減 4~12月、郵便・物流の取扱量減る

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  519文字  PDF有  書誌情報

 日本郵政が14日発表した2023年4~12月期の連結最終利益は前年同期比41%減の2219億円だった。郵便・物流事業を担う日本郵便の取扱量が減り、減収減益となったことが響いた。金融事業ではゆうちょ銀行の業績は堅調だったが、グループ全体で収益低下が続いている。
 経常収益は横ばいの8兆4326億円、経常利益は3%減の5203億円だった。24年3月期の最終利益は前期比44%減の2400億円とする従来予想は据え置いた。
 最終減益は23年3月にゆうちょ銀行株を売却したことで持ち株比率が下がったことも一因だ。ただ日本郵便そのものが想定よりも収益が悪化している。同社の4~12月期の連結経常収益は5%減、最終利益は73%減だった。
 郵便・物流事業は取扱量が5.5%減り、事業の営業損益は378億円の赤字(前年同期は455億円の黒字)だった。燃料高なども収益を押し下げた。
 日本郵政は10月にも定形の封書やはがきを値上げし、黒字転換を目指している。ただ、値上げしても26年度には再び赤字になる見通しで、利益構造の見直しは急務だ。
 金融事業ではゆうちょ銀行の連結最終利益が6%増だった。海外での資産運用事業が堅調で、一部保有株式の売却益も寄与した。

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日米、供給網の人権対応 官民初会合、取り組み共有

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  426文字  PDF有  書誌情報

 日米両政府がサプライチェーン(供給網)上の人権侵害の排除や防止に関する会合を6日に初めて開いたことがわかった。14日には民間企業などを交えた対話も開き、両政府の人権を巡る政策や取り組みを企業と共有し、問題解消に努める。
 日本からは経済産業省のほか、外務省や厚生労働省などが参加した。米国は通商代表部(USTR)や国務省、国土安全保障省などが出席した。2023年1月、西村康稔前経済産業相とUSTRのタイ代表が供給網の人権問題についての協議体創設で合意していた。
 日本は22年9月、取引先を含めた供給網で人権侵害がないかを確認し、予防や改善に取り組む手順を示した企業向けの人権デューデリジェンス(DD)に関する指針をまとめ、企業への周知を進めている。
 米国側は日本のこうした取り組みに一定の評価をし、法整備などは求めなかったとみられる。
 14日に開く官民対話には政府の関係機関に加え、経団連や連合、米国の経済・労働団体やインテルなどの米企業が参加する。

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原発事故時の屋内退避対応見直し 原子力規制委、範囲など整理

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  345文字  PDF有  書誌情報

 原子力規制委員会は14日の定例会合で、原子力発電所の事故時の対応を定めた「原子力災害対策指針」を見直す検討チームを設置すると決めた。能登半島地震などを受け、屋内退避の運用のあり方を2025年3月をめどにまとめる。
 屋内退避は放射性物質を含む「放射性雲」による被曝(ひばく)を減らす対策になる。
 検討チームは規制委の委員や内閣府、自治体の担当者、外部専門家らで構成する。屋内退避の対象となる範囲や実施期間などを検討する。解除や避難、一時移転に切り替える際に考慮すべき点も整理する。
 対策指針は原子炉が冷却機能を失うような全面緊急事態になった際、原発から5キロメートル圏内の住民は避難を、5~30キロ圏内は屋内退避をするよう定めている。解除や避難への切り替えの判断基準については示していない。

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NTT法の改正、外資規制「重要」 作業部会が初会合

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  331文字  PDF有  書誌情報

 NTT法の改正を巡り総務省は14日、外資規制や経済安全保障に関する規制を議論する作業部会の初会合を開いた。NTT法は外国人の議決権割合が3分の1以上になることを禁止している。有識者からは「通信事業の適切な運営のため、NTT法の規制は引き続き重要だ」との意見が出た。
 NTTは「NTT以外の重要な通信事業者にも外資規制を導入すべきだ」と主張している。導入には世界貿易機関(WTO)などの国際協定上、可能かどうかの交渉が各機関と必要になる。
 オブザーバーとして出席した外務省の担当者は、例えばWTOでは「NTT以外の事業者への規制はこれまで約束してきた自由化の撤回になる」と述べた。「他分野で代わりに自由化を求められ、交渉が成立するかどうかは分からない」と話した。

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少子化「支援金」、26年度は月300円弱 1人あたり負担額

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  224文字  PDF有  書誌情報

 加藤鮎子こども政策相は14日の衆院予算委員会で、少子化財源の確保に向けて医療保険料に上乗せする新たな「支援金制度」を巡り、初年度の2026年度は1人あたりの負担額が月300円弱となるとの試算を示した。27年度は400円弱だと説明した。
 支援金は総額で26年度に6000億円、27年度に8000億円、28年度に1兆円を想定する。加藤氏は「粗い試算だ」と述べた。加入する医療保険制度ごとに金額は異なるとして「どのように示せるか精査を進める」と話した。

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気になるサイン 金の国内需給 高値でも売り越し減 インフレ長期化意識か(物価を考える)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  578文字  PDF有  書誌情報

 「結婚を機に、資産の『お守り』にする」――。30代の新婚夫婦は2023年夏、三菱マテリアルが運営するゴールドショップ三菱 東京・丸の内店(東京・千代田)で金の地金100グラムを購入した。
 高田意誠店長は「老後資金の確保を目的に金を買う30代以上の若い方が増えている」と話す。金の現物を裏付けにした上場投資信託(ETF)にも資金が集まる。三菱UFJ信託銀行の「金の果実」の純資産総額(1月末時点)は2981億円。1年で47%増えた。
 金はそれ自体に価値を持つ実物資産として、インフレに強いとされる。過去の経験則では、国内の個人投資家は値上がり局面で利益確定の売りを出す傾向が目立った。
 例えば11年は、米国債の格下げなどを背景に国内の金価格が前年に比べ平均で17%上昇した。国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)がまとめた金地金・金貨の取引量は52トンの売り越しと、10年以降で最大の規模だった。
 国内で指標となる田中貴金属工業の小売価格は23年の平均で1グラム8834円。海外相場高と円安で、11年の2.2倍になった。半面、23年の売り越しは11年の10分の1にも満たない。日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事は「インフレと円安で円の価値は大きく低下した。この傾向は今後も続くとの意識が金の買いに反映されている」と話す。
(1面参照)

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英消費者物価、1月4%上昇 市場予想下回る(短信)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  130文字  PDF有  書誌情報

 【ロンドン=大西康平】英統計局が14日発表した英国の1月の消費者物価指数は前年同月比で4.0%上昇した。伸び率は2023年12月と同じで、英LSEGが集計した市場予想の4.2%を下回った。
 エネルギーと食品などを除くコア指数の伸び率は横ばいの5.1%だった。

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法務省(人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  5ページ  21文字  書誌情報

 法務省(15日)法制審議会委員、洲崎博史

センキョノミクスを憂える(DeepInsight)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  7ページ  2147文字  PDF有  書誌情報

 「政治とは醜い者たちのためのショービジネスだ」。クリントン元米大統領の側近として知られた米政治コンサルタント、ポール・ベガラ氏はかつてこう評した。まして選挙となれば、なおさらきれい事では済まされない。
 世界で重要な選挙が続く2024年、各国・地域の経済運営も票目当てのショービジネスと化すのだろうか。金融緩和や財政出動で必要以上に経済をふかしたがる「センキョノミクス(選挙向けの経済政策)」のまん延を憂える。
 
 大統領選を11月に控える米国では、金融引き締めの転換を探る米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長に、あからさまな政治圧力がかかる。与党・民主党の有力者は1月末の金融政策決定会合に向けて、早期の利下げを迫る複数の書簡を提出していた。
 不人気と高齢で再選が危ぶまれるバイデン大統領を援護したいのだろう。ブラウン上院銀行委員長らは高水準の政策金利を「賃金や雇用の抑圧」と断じ、ウォーレン上院議員らは「天文学的な住宅ローン金利」をやり玉に挙げた。
 かたや返り咲きを目指す野党・共和党のトランプ前大統領は、FRBが利下げでバイデン氏を助けるつもりだと批判する。パウエル氏はただでさえ微妙な金融緩和の決断を、左右両派の介入をかわしながら下さねばならない。
 欧州ではポーランドの一件が記憶に残る。中央銀行が23年10月の総選挙の直前に、当時の与党・法と正義を大幅な利下げで支えようとしたのではと疑われた。これほど極端なケースは少なかろうが、24年に政治の季節を迎える英イングランド銀行(BOE)や欧州中央銀行(ECB)も早期の利下げを期待されるのは同じだ。
 米経済学者のキャローラ・バインダー氏が世界の主要中銀118行の10~18年の動向を分析したところ、年平均で約1割が何らかの政治介入を受けていた。左右両派からの金融緩和の圧力が大半で、民主主義が劣化した国・地域ほど干渉を許しやすいという。
 1970年代以降の100件余りのインフレショック(56カ国・地域)を検証した国際通貨基金(IMF)の論文によると、発生時から5年以内に危機前の物価上昇率に戻ったのは6割で、平均では3年を要していた。中銀の多くが過去の教訓に学び、早すぎるインフレ退治宣言や金融緩和への移行を慎もうとしているのに、その判断を政治がゆがめかねない。
 
 より心配なのは、選挙にらみの行き過ぎた財政出動だ。英国ではスナク首相率いる与党・保守党が2024年後半の総選挙で敗北し、野党・労働党が14年ぶりに政権を奪取するとの観測が広がる。200億ポンド(約3兆8千億円)以上の企業・個人減税などを表明しても勢いはつかず、さらなるてこ入れに動く可能性がある。
 インドが4~5月に実施する総選挙では、与党・インド人民党が優位に立つ。3期目を狙うモディ首相は24年度(24年4月~25年3月)予算案の歳出規模を前年度比6%増に抑えたとはいえ、農民への現金給付や農村開発の促進を含む票田対策は欠かさない。
 メキシコのロペスオブラドール大統領は南部ユカタン半島を走る観光鉄道への大型投資を続け、現役並みの収入を保証する年金改革を唱える。自身は6月の大統領選後に退くものの、後継候補のシェインバウム前メキシコシティ市長と与党・国家再生運動の勝利を後押ししたいのは明らかだ。
 経済協力開発機構(OECD)は最新の世界経済見通しで、性急な金融緩和だけでなく過剰な財政出動にも警鐘を鳴らした。景気の安定を維持しながらインフレを封じ込める「軟着陸」を妨げたあげく、財政赤字や公的債務まで膨らませるのではたまらない。
 政府が借金の痛みを和らげるため、中銀への圧力を強めて低金利を迫るのを懸念する――。インド準備銀行のラジャン元総裁やドイツ連邦銀行のウェーバー元総裁らは、金融当局のOBなどが集う有識者団体「G30」の警告を世に問う。それが現実になりかねない危うさを感じるのは確かだ。
 
 もうひとつ気がかりなのは、内向きな政策の横行である。米国ではトランプ氏のポピュリズム(大衆迎合主義)に引っ張られるように、バイデン氏も国内産業の保護や移民受け入れの制限に傾く。フランス、ドイツなどでは環境規制や燃料高の負担に悩む農民の抗議活動が広がり、極右勢力の伸長を恐れる欧州連合(EU)も救いの手を差し伸べざるを得ない。
 IMFの推計によると、23年に世界で実施した産業政策は、補助金の投入や輸出入の制限を含めて2500以上にのぼる。競争力低下への対応のみならず、選挙対策や放漫財政の結果でもある。
 空前の選挙イヤーが問うのは、権威主義と対峙する民主主義の強靱(きょうじん)性ばかりではない。マクロ経済政策の妥当性や健全性も試されているのだ。
 日本はどうか。支持率の低下にあえぐ岸田文雄首相が、9月の自民党総裁選や来たるべき衆院選を前に、時限的な所得税減税やガソリン価格抑制の補助金を簡単に打ち切れるとは思えない。日銀が今春にマイナス金利政策を解除できても、その先の利上げに向く政府の視線は険しいに違いない。
 振り返れば、岸田政権は国政選挙を迎える度に大盤振る舞いを繰り返してきた。その場しのぎのセンキョノミクスを常態化させ、日本経済をゆがめてほしくはない。

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妥協の「美徳」、ロシアに通じず ラトビア外相 クリシュヤーニス・カリンシュ氏(グローバルオピニオン)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  7ページ  1513文字  PDF有  書誌情報

 ロシアの侵略が始まって以来、ウクライナは奪われた領土の半分を取り返した。とはいえ、戦況がとても困難な段階にあることは事実だ。ロシアはほぼ戦時の経済体制を敷き、休まずに弾薬や武器を製造している。一方、西側諸国の防衛産業は平時体制からの移行に取り組んでいるが、調整にはなお時間がかかる。
 ウクライナは西側による切れ目ない支援を必要としている。
 欧州連合(EU)は2月、500億ユーロ(約8兆円)の資金支援を決めた。ゼレンスキー・ウクライナ大統領と国際社会が次に待ち望んでいるのが、米国による支援の決定だ。ロシアを勝利させないことが、米国の国益にもかなう。米国の政治家たちが、援助を続ける道を何とかして見いだすと信じている。
 この戦争によって、北大西洋条約機構(NATO)は拡充された。NATOは今後、日本のような志が同じ国々とも、より密に協力しなければならない。
 長年、ロシアを近くで注視するなかで、バルト諸国は不幸にも極めて悪い経験を味わわされてきた。ロシアとの緊張は、2000年ごろからすでに始まった。根底にあるのが、19世紀後半に生まれたロシアのファシスト哲学者、イワン・イリイン氏の存在だ。
 プーチン・ロシア大統領の国家観は、イリイン氏の哲学が土台になっている。その内容とは、国家を偉大にするために、ロシアには隣国を征服する権利があるというものだ。ロシアでは近年、彼の著作が復活し、再版されている。彼の哲学はクレムリンにとどまらず、ロシアの戦略エリートたちの考え方に浸透している。
 予見できる将来において、こうしたロシアの内部体質を変えるほどに劇的な変化が、同国で起こるとは考えづらい。ロシアは沸騰したやかんのようなものだ。内部に外から影響を及ぼすことはできない。ならば、周囲の防御を確実にするため、私たちはロシアを封じ込めていく必要がある。
 ロシアの封じ込めには、2つの要素がある。まず、同国に依存しない強固な経済を築くことだ。そのうえで、必要なときに一緒に行動できる強力な軍隊をつくり上げなければならない。
 西側の政治家や専門家には、停戦を呼びかける声もある。ロシアが武器を捨てさえすれば、戦争はすぐに終わる。しかし、ウクライナが武器を捨てたら、ウクライナという国家が終わってしまう。ロシアは何度も繰り返し、停戦を破ってきているからだ。
 対立が生じた場合、西側諸国の間では互いに一歩退き、交渉の機会を設け、妥協点を探る。私たちの体制は妥協という美徳によって成り立っている。だが、ロシアは逆だ。私たちが一歩譲れば、彼らは一歩踏み込んでくる。ロシアの政治体制下では妥協は良いことではなく、弱さの表れとみなされるからだ。
 民主主義国家がロシアの侵略を止めたければ、強い力を示すしかない。ロシアに近接するバルト諸国は20年ほど前から、そう訴えてきた。他の欧州諸国もようやくその現実を理解した。私たちは半年や1年間ではなく、20年間や一世代という単位でロシアを封じ込めていかなければならない。
 ロシアは中国とより緊密に連携している。イランはロシアに武器を供給し、北朝鮮も弾薬を渡している。ロシアと過度に連携しないよう中国に促すことが、すべての西側諸国の利益になる。
 中国への働きかけは、今からでも手遅れではないと思う。侵略国となったロシアは明るい将来を見込めない。強固なルールに基づく秩序に寄与するのか、それとも真っ向から抵抗する側につくのか。どちらの道を選ぶか、中国は決めなければならない。
(談)
【図・写真】 Krisjanis Karins ラトビアの経済相などを経て、19年1月~23年9月に首相を務めた。その後に現職。

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妥協の「美徳」、ロシアに通じず――理にかなう悲観論(グローバルオピニオン)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  7ページ  440文字  PDF有  書誌情報

 カリンシュ氏には昨年5月にも取材する機会があった。当時首相だった彼は、長い将来にわたり、世界はロシアの脅威にさらされ続けると断言していた。そこで今回は、そんな悲観論の根拠を詳しく聞いてみた。返ってきたのは、理にかなった冷徹な分析だ。
 カリンシュ氏が第一の根拠に挙げたのは、プーチン・ロシア大統領がロシアの「ファシスト哲学」を信奉している点だ。大国ロシアには周辺国を支配する権利があるという思想だ。彼はウクライナ侵略は罪どころか、正当な使命と信じており、長期にわたって侵略をやめない恐れがある。
 第二に、ロシアの政治文化では妥協は対立を解決する美徳ではなく、弱さの表れとみなされるという。だとすれば、ウクライナが停戦を持ちかけたら、ロシアは態度を和らげるどころか相手の足元をみて、より強気になるだろう。
 ロシアに隣接するラトビア、リトアニア、エストニアは繰り返し、帝政ロシアやソ連に支配されてきた。そんな歴史にもとづく論理だけに、強い説得力がある。
(本社コメンテーター 秋田浩之)

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上場地銀、与信費用3割増 中小の経営悪化を警戒 73行・グループ、純利益6%減 4~12月

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  1539文字  PDF有  書誌情報

 上場地銀73行・グループの2023年4~12月期決算が出そろった。合算した連結純利益は約8300億円と前年同期比6%減った。中小企業の経営悪化に備えた引当金や不良債権処理などの与信関係費用が3割増えたためだ。株高を生かして株式の売却益を膨らませたが補えなかった。最高益を更新した大手行と明暗が分かれた。
 銀行単体ベースの4~12月期の与信費用は前年同期比3割増の約860億円だった。栃木銀行は23億円、紀陽銀行は22億円とそれぞれ4倍強に増えた。沖縄銀行を傘下に置くおきなわフィナンシャルグループ(FG)は8割増の3億円だった。「資金繰り支援策が終わり、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済も本格化するなか、予防的に一部融資先の与信費用を積んだ」(おきなわFG)
 清水銀行は前年同期の1200万円から15億円に増えた。取引先の自動車部品製造業者が民事再生手続き開始を申し立てたため、貸出金やリース債権など約18億円のうち担保や引当金で保全されていない約8億円について引き当て処理をした。
 物価高や人手不足を背景に中小企業の一部で経営悪化が進んでいる。コロナ禍で借り入れた資金の返済も過剰債務を抱える企業の資金繰りを圧迫し始めた。東京商工リサーチによると、全国の企業倒産は1月まで22カ月連続で前年同月を上回った。
 日銀の金融政策の正常化を見据え、損失覚悟で国債を売る動きも広がった。名古屋銀行や大垣共立銀行は国債などの売却損により、本業のもうけを示す実質業務純益はマイナスだった。値上がりした保有株の売却などで最終増益は確保した。
 景気自体は堅調で、資金需要も底堅く推移する。コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の横浜銀行では、貸出金の金利収入や配当利息からなる資金利益は5%増えた。「増加した50億円の7割以上が預貸金の利息収入によるもので、中小企業向け融資やストラクチャードファイナンス(仕組み金融)が伸びている」(横浜銀行)
 台湾積体電路製造(TSMC)を中心に半導体関連の工場誘致が進む九州では「2021年4月以降の半導体関連設備投資計画は6兆円を超える」(福岡銀行)という。日銀によると非上場も含む地銀全体の貸出金残高は、直近の23年11月時点で308兆円とコロナ禍前の3年前比で1割増えた。
 大手行では海外を中心に貸出金利が上昇し、利ざやが改善している。一方で地銀は国内取引が中心で、ライバル行との金利競争も依然厳しい。千葉銀行の4~12月期の貸出金利回りは前年同期比ほぼ横ばいだった。日銀がマイナス金利を解除して国内でも本格的に金利上昇が進めば、地銀でも利ざやの改善が進むとみられる。
 もっとも金利復活は金融機関同士の預金の奪い合いにつながる可能性もある。トマト銀行や東和銀行の23年12月末時点の預金残高は前年同月末比で減少した。ネット銀行や一部地銀は預金を集めるために定期預金金利の引き上げなどに動いている。
 あおぞら銀行は米国のオフィス向け融資で多額の引当金を計上し、最終赤字に転落した。ピクテ・ジャパンの大槻奈那シニア・フェローは「あおぞら銀は地銀に比べて顧客基盤が小さい。高めの資金調達コストをカバーする高収益業務として米国の商業用不動産融資を積極化してきた。地銀で同様の問題が発生するとは考えにくい」とみている。
 ゼロゼロ融資の返済が本格化するなか、今後も地銀の与信費用はじわり増加していく可能性がある。景気回復が続いており、かつての金融危機とはかなり状況が異なるが「与信費用の増加分を有価証券の含み益でカバーできる銀行と、それができない銀行の間で体力差が広がってくるだろう」(楽天証券の窪田真之チーフ・ストラテジスト)との指摘がある。

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三菱UFJ、ウェルスナビ出資発表 運用助言AIを共同開発

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  1034文字  PDF有  書誌情報

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は14日、投資一任サービスのロボットアドバイザー(ロボアド)最大手のウェルスナビに約156億円を出資すると正式発表した。2025年にもスマートフォンのアプリなどで最適な金融商品を提案するサービスを共同開発する。他社の商品も扱う個人向けの中核サービス作りに着手する。
 三菱UFJ銀行の出資比率は15%超となり、3月にも持ち分法適用会社としてグループの傘下に収める。両社は25年に「マネー・アドバイザリー・プラットフォーム(MAP)」というサービスの実現を目指す。ウェルスナビの柴山和久最高経営責任者(CEO)は「働く世代を中心に資産形成を支援する」と語った。
 「保険の備えが不足しています」「少額投資非課税制度(NISA)への積み立てがおすすめです」。両社が思い描くのはスマホでの質問への回答や年齢や家族の構成、資産データをもとに資産運用のほか住宅ローンや保険も含めた見直しを人工知能(AI)で提案できるサービス。従来のロボアドでも運用商品の紹介などはできたが、借り入れや保険など金融全般に役割を広げる。
 多様な金融商品を選べるように他社商品も含めて紹介する方針だ。三菱UFJの1000万人が利用する銀行のウェブサイトやアプリから誘導する。必要に応じて店舗でもサービスを案内する。グループ会社を含めて集まる膨大なデータも提案に生かし、ポイントプログラムも組み合わせる。
 ウェルスナビは24年1月時点でユーザー数38万人、預かり資産1兆円超を抱える業界最大手。お金のデザイン(東京・千代田)などロボアド各社が既存の証券会社の出資などを受けるなか、独立系として顧客を広げてきた。三菱UFJの山下邦裕デジタルサービス企画部長は「(ウェルスナビは)圧倒的な開発力がある」と話す。
 両社の連携の背景には24年1月から始まった新NISAなど資産運用業界の競争激化がある。ウェルスナビは決算で最終黒字を確保するが、広告宣伝費が重荷となる状況が続く。NISA開始でネット証券などが攻勢をかけるなか「規模」の重要性が一段と増していた。
 三菱UFJはリテール(個人向け営業)事業で後払い式決済のスタートアップのカンム(東京・渋谷)を買収するなどネットを使った顧客基盤の維持・拡大などを目的にスタートアップなどに出資する。23年には量子技術のグルーヴノーツ(福岡市)に出資した。新興の技術を取り込みサービスを拡大する動きは各社でさらに広がりそうだ。

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損保3大手、純利益3倍 4~12月最高更新 海外保険料率上げ寄与

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  512文字  PDF有  書誌情報

 損害保険大手3グループが14日発表した2023年4~12月期決算は、合計の純利益が前年同期比3倍の1兆1219億円だった。資産運用収益の拡大に加え、海外を中心とした保険料率引き上げによる収支改善で最高益を更新した。国内では経済活動の再開に伴う事故の増加や修理単価の上昇で自動車保険の収支が33%悪化、収益に陰りが出ている。
 東京海上ホールディングス(HD)とMS&ADインシュアランスグループHD、SOMPOHDで海外事業が好調だった。海外を中心に前年膨らんだ新型コロナの保険金支払いが一巡したことも影響した。東京海上は24年3月期の純利益予想を上方修正し、前期比79%増の6700億円とした。従来予想は5750億円だった。
 国内ではコロナ禍が落ち着いた23年ごろから交通量が回復し、事故の増加で自動車保険の収支が悪化している。物価高による修理単価の上昇で保険金支払いもかさみ、損害保険ジャパンでは単価が23年4~12月期に前年から5.3%上昇した。24年3月期の利益は全体でピーク時の22年3月期から半減する見通しだ。
 火災保険でも収支改善の遅れが目立つ。大手4社を合算した損益は23年度に14年連続の赤字が見込まれる。

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企業、金利0.5%上昇なら…借り入れ断念「2割」 民間調査

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  274文字  PDF有  書誌情報

 東京商工リサーチが14日発表した調査によると、メインバンクからの借入金利が現状の水準より0.5%引き上げられた場合、借り入れを断念すると答えた企業が全体の21%に達した。日銀のマイナス金利が解除されるとの観測が広がるなか、2023年1月と比べて金利が「すでに上昇している」と答えた企業が16%にのぼった。
 調査は1~8日にインターネットで実施し、4499社から回答を得た。借入金利がすでに上昇した企業や年内に上昇すると予想する企業はあわせて7割だった。メインバンクの金利が0.1%上昇した際に「他行へ調達を打診する」と答えた企業は22%を占めた。

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東京都内2信金、合併を検討 足立成和と東栄

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  181文字  PDF有  書誌情報

 東京都地盤の足立成和信用金庫(東京・足立)と東栄信用金庫(東京・葛飾)が合併を検討していることが14日、明らかになった。足立区と葛飾区で営業エリアが隣接する2信金が合併することで店舗運営などを効率化し、経営基盤を強化する狙いがあるとみられる。
 2信金は14日、「合併に関して検討を行っていることは事実だが、現時点で決定している事実はない」とのコメントを出した。

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第一生命の純利益42%増 4~12月、コロナ給付金支払い減

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  160文字  PDF有  書誌情報

 第一生命ホールディングス(HD)が14日発表した2023年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比42%増の2179億円だった。為替ヘッジ付きの外国債券の削減で利配収入が減ったものの、新型コロナウイルス関連の給付金の支払いが減少したことが大きい。株主還元の原資となるグループ修正利益は30%増の2146億円だった。

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投信残高3カ月連続最高、初の200兆円超 1月

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  151文字  PDF有  書誌情報

 投資信託協会が14日発表した1月の投信概況によると、公募投信の純資産残高は前月比11兆4544億円増の208兆3613億円だった。3カ月連続で過去最高を更新し、初めて200兆円を超えた。1月から開始した新しい少額投資非課税制度(NISA)を受けて、純資金流入額は前月比6.7倍の2兆122億円だった。

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信金の神髄(上)地域に密着「運命共同体」 過疎地医療に伴走/廃校を介護施設に

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  1177文字  PDF有  書誌情報

 株主の利益を優先する株式会社の銀行と異なり、地域の繁栄を設立目的とする協同組織金融機関が信用金庫だ。営業区域が限られる信金は地域の発展に尽くすほかない。地域密着を実践する信金の神髄に迫る。
 「しっかりとした医療と教育がなければ人が去り地域としての持続性もない」。兵庫県豊岡市に本店を置く但馬信用金庫は、医療・福祉の課題解決を模索する地元のNPO法人と連携する。
 但馬地域は1950年頃から人口が減り続ける過疎地域だ。急性期病床が多く慢性期や回復期の病床が不足。医師や介護士も十分ではない。
 事業収入を見込みにくいNPOへの融資は難しい。但馬信金が着目したのは休眠預金を使った助成金制度だ。申請を支援し3年間で約5000万円を得た。宮垣健生常務理事が監査人として入り、事業企画やコンサルティングも手掛ける。成果として医師や看護師、薬剤師などが定期的に情報交換する場ができた。
 本来、医療と介護の連携や病床再編は行政が主導する。宮垣常務理事は「自治体の枠を超えて店舗があり、自治体だけではできないことに伴走するのは信金の役目」と話す。医療関係の相談事も増え、民間クリニックの開業資金の融資など、収益につながるケースもあるという。
 千葉県東庄町も少子高齢化が進む。小学生の数は30年間で6割減り、20年3月末には町内に5校あった小学校が1校に統廃合された。廃校となった2校を人が集まる場所に変える後押しをしたのが銚子信用金庫だ。
 「地域活性化を真剣に考える地元の人たちを応援したい」。東庄町出身者が中心の社団法人、オンラア未来会議は地域の課題解決に取り組む。銚子信金は融資の取引はなかったが、廃校となった小学校の一部にコワーキングスペースを作るための補助金活用を提案した。
 中小企業診断士の紹介や補助金が出るまでに必要な工事費約2000万円を融資。オンラア未来会議の柳堀裕太代表は「こんなに手厚くサポートしてくれるところはない」と感謝する。
 廃校となっていた別の小学校はプリーズ(千葉県東庄町)が運営する住宅型有料老人ホームに転換。開業に2億4000万円が必要だったが、地銀との交渉が進まず、飛び込みで頼ったのが銚子信金東庄支店だ。
 下谷享由支店長は「信金は地域と運命共同体」と強調する。本部に掛け合い、政府系金融機関と保証協会、他の信金に働きかけて協調融資を実行した。
 全国に254ある信金の中央金融機関である信金中央金庫の柴田弘之理事長は、金融デジタルメディア「NIKKEI Financial」のインタビューで「信金は地域から逃げも隠れもできない」と語った。地方銀行と比べて狭いエリアで営業する信金は、地域の発展のための当事者意識がより強い。
【図・写真】廃校を改装したコワーキングスペースで話をするオンラア未来会議の柳堀代表(左)と銚子信金の下谷支店長

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ネオファースト生命保険 上原高志氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  173文字  PDF有  書誌情報

 ◇ネオファースト生命保険
上原 高志氏(うえはら・たかし)95年(平7年)東工大工卒、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。16年三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)イノベーションラボ所長。21年SOMPOホールディングス(HD)デジタル戦略部チーフエバンジェリスト、23年投資戦略室特命部長。東京都出身。51歳
(4月1日就任。徳岡裕士社長は退任)

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バーテックス・インベストメント・ソリューションズ 星野元伸氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  9ページ  146文字  PDF有  書誌情報

◇バーテックス・インベストメント・ソリューションズ
星野 元伸氏(ほしの・もとのぶ)91年(平3年)慶大理工卒、第一生命保険入社。19年アセットマネジメントOne常務執行役員。23年バーテックス・インベストメント・ソリューションズ副社長、神奈川県出身。55歳
(4月1日就任。川原則光社長は退任)

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MSCI世界株指数、中国銘柄8%除外 時価総額減少で インド株へ資金流入加速

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  11ページ  1594文字  PDF有  書誌情報

 株価指数算出の米MSCIは代表的な全世界株指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」から中国株66銘柄(8%)を除外することを決めた。不動産市場への不信感などから中国株の時価総額が減少したことで、除外の対象となった。代わって組み入れ銘柄が増えるインド株へ投資マネーは流れる。
 MSCIによるインデックスの銘柄入れ替えは年に4回、定期的に行われる。今回は全体で101銘柄を除外し、24銘柄を追加する。2月29日の取引終了時点で実施する。
 なかでもACWIに組み入れられている中国株は66銘柄が除外される。新たに追加されるのは5銘柄。現在の765銘柄から704銘柄に減る。
 中国景気が低迷して株価がさえなかったことから、不動産開発の金地集団や航空大手の中国南方航空など幅広い業種が除外対象となった。
 ACWIは「MSCI先進国株指数」と「MSCI新興国株指数」の合計で構成される。大和証券の分析によると、MSCI新興国株指数に占める組み入れ比率(時価総額ベース)で、中国は0.31ポイント減の24.8%へ下がる。
 MSCI新興国株指数で運用されている資金は3436億ドルあると試算され、今回の見直しで約11億ドルが中国から流出する計算になる。
 香港市場では14日に春節(旧正月)の連休に伴う休場が明け、取引が再開した。MSCIが除外する66銘柄のうち10銘柄以上は香港に上場しており、14日は軟調さが目立った。
 IT(情報技術)サービスの中軟国際(チャイナソフト・インターナショナル)と台湾系食品大手の統一企業中国は終値がいずれも前営業日比約3%安。オンライン診療の平安健康医療科技は一時6%強下げて上場来安値を更新した。
 中国株の時価総額の減少は続いており、「除外の動きはFTSEなど他の主要な指数でも出てくるだろう」と大和証券の橋本純一シニアクオンツアナリストはみる。全世界株を対象としたFTSEの指数では1月末時点で中国株を2.5%組み入れている。
 主要な指数で組み入れ比率の低下が続けば、これらの指数を参考にするアクティブ運用も連鎖反応して、中国の比率を下げる可能性がある。
 一方、今回のMSCIの銘柄入れ替えで、中国に代わって増えたのがインドだ。現在の131銘柄から136銘柄に増える。時価総額ベースの比率では0.34ポイント上昇して18.16%になる。
 インフラ投資の増大などを背景に株価が堅調で、中国から流出した分がほぼインドに流入する形だ。
 そのほか、韓国やタイの組み入れ比率は微減、マレーシアやブラジル、カタールが微増となった。
 日本は、SCREENホールディングスが採用された一方、コーエーテクモホールディングスなど8銘柄が除外。採用銘柄数は225から218に減る。
 ただ時価総額が大きいスクリンの組み入れ比率が比較的高いため、日本株の比率は0.01ポイント上昇して6.01%になる。想定される資金流入は300億円程度と小さく影響は軽微だ。
 大和証券の橋本氏は「米大手テックへ時価総額が集中している。今後、除外される銘柄が増えてくる」と説明する。組み入れられる銘柄の目安は、世界の時価総額で上位85%に入ることだ。
 マイクロソフトやエヌビディアなど大手テックの時価総額が増えることで、ボーダーラインは上がる。
 MSCIなどの主要指数はアクティブ運用の投資家も参照する。円安の中での株高でドル建ての時価総額が他国に比べてそれほど増えていないために、指数の組み入れ比率は上がらない。日本株が注目されている中で、数少ないウイークポイントの一つだ。
 今後ドル建てでも株価が大きく上昇できれば、指数を参照する多くの投資家の資金も入りやすくなる。
(小河愛実、香港=伊原健作)
【図・写真】不動産市場への不信感などから中国株の時価総額は減少している=ロイター

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テック株への配分、3年半ぶり高水準 2月の機関投資家調査

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  11ページ  480文字  PDF有  書誌情報

 米バンク・オブ・アメリカ(BofA)が13日公表した2月の機関投資家調査で、運用資産のうちテック株への配分の多さを示す指数が2020年8月以来となる3年半ぶりの高水準をつけた。米ハイテク大手の好決算や、米国経済の軟着陸(ソフトランディング)への期待感を背景に関心が強まったとみられる。
 セクターごとの配分状況に関する質問で、テック株の持ち高を「オーバーウエート(強気)にしている」との回答比率から「アンダーウエート(弱気)」を引いた値はプラス36だった。1月調査から10ポイント上がり、全11セクターのなかで最大となった。
 投資家心理の改善傾向は鮮明。今後12カ月で世界景気が後退する可能性が「低い」とする回答比率は「高い」を22年4月以降で初めて上回った。投資家のリスク選好度が高まり、運用資産に占める現金の割合は4.2%と、1月調査から0.6ポイント低下した。
 現金比率や株式の配分状況、景気見通しなどから投資家心理を測る指数は過去2年で最も強気の水準に上昇したという。「投資家のポジショニングはリスク資産への逆風になりつつある」(BofA)としている。

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「ハイテク株の女王」復活宣言 運用ETF、昨年上位1%の好成績(英FT特約)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  11ページ  1278文字  PDF有  書誌情報

 「ハイテク株の女王」の異名を持つキャシー・ウッド氏は、新興テック株を中心に運用する上場投資信託(ETF)が2年間の急落という「試練を経験し」、2023年に業界有数の高成績を上げるまでに復活したと述べた。
 米調査会社モーニングスターによると、同氏が運用する資産80億ドル(約1兆2000億円)の旗艦ETF「アーク・イノベーション(ARKK)」は23年に68%上昇し、同種のETFの中で上位1%に入る高成績を上げた。
 23年に復活する前の21年から22年にかけて、ARKKが集中投資するグロース(成長)株に逆風が吹き、同ETFの下落率は年率50%に達していた。
 アーク・インベストメント・マネジメント最高経営責任者(CEO)のウッド氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対して、「想像通りのコメントかもしれないが、当社は2021年と22年に試練を経験し、今はその対極にいる」と語った。
 (欧米の証券コードである)ティッカーシンボルの「ARKK」で知られる同ファンドは23年、電気自動車の米テスラなどへの投資が奏功し、上昇率が150%を超えた20年以降で最高の成績を上げた。
 だが、米連邦準備理事会(FRB)が高インフレの沈静化に向けて40年ぶりの水準まで利上げを実施したことで、グロース銘柄に集中投資していた同ファンドは21年に23%、22年にさらに67%下落していた。
 強気の姿勢で知られるウッド氏は、FRBが24年に利下げを実施し、インフレ率がデフレに近い水準まで下がると予想。同氏が選好するイノベーション投資戦略に追い風が吹くと見込む。
 「当社は21年と22年にインターネットバブル崩壊時のナスダックより低迷したが、率直に言って、それは理屈に合わない。イノベーションが生まれて実を結ぼうとしているからだ」とウッド氏は言う。
 だが、ARKKは年初から10%以上下落している。集中投資するテスラ株などの下落が響いた。
 モーニングスターのストラテジスト、ロービー・グリーンゴールド氏は「(アークの)リサーチ部門の予想は強気すぎる。十分な幅をもってシナリオを検討できていないことが多い。悲観シナリオは楽観的すぎたと判明している」と話す。
 モーニングスターのデータによると、ARKKの過去4年間の運用成績は同種のカテゴリー内でいずれの年も上位層または下位層のいずれかだった。リスク調整後のリターンでETFを1つ星から5つ星で評価しているモーニングスターは、ARKKの評価を(最下位の)1つ星で据え置いている。
 ARKKの過去5年間の年率リターンは2.8%と、中型グロース株ファンドやテック系ファンドの中でほぼ最下位にある。
 アークの米国株ETFには、21年初から23年末までで正味71億ドルを超える資金が流入した。
 だが、モーニングスター・ダイレクトのデータによると、そのほぼ全額が21年初めのピーク時に流入したという。21年3月以降では90億ドル前後が流出し、うち23年の流出額は約4億7000万ドルに上る。
【図・写真】ウッド氏は強気の姿勢で知られる=ロイター

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米オライリー・オートモーティブ、上場来高値圏 車部品販売の伸びに期待(InvestmentRadar)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  11ページ  500文字  PDF有  書誌情報

 米自動車用品販売のオライリー・オートモーティブが上場来高値圏で推移している。1月末の株価は22年末比で21%上昇した。足元では24年通期の利益率が23年比で小幅に低下するとの見通しを示したものの、中期的な株価上昇への期待は高い。
 自動車のパーツや工具、消耗品などを販売する小売り大手で、一般消費者とともにプロの業者も顧客としている。
 7日に発表した23年10~12月期決算の純利益は前年同期比4.5%増の5億5000万ドル、1株当たり利益(EPS)は9.26ドルと、いずれも市場予想を上回った。一方で24年通期の利益率の見通しは前年比で横ばいか、わずかに低下するとの見方を示した。発表を受けて、8日の株価は決算発表前(7日)の終値と比べ一時5%程度下落した。
 ただ、アナリストは株価の一段高を予想。既存店の売上高は同業他社よりも伸長する見通しで、米ゴールドマン・サックスは決算発表後のリポートで「特に自動車整備などの代行分野でのシェア拡大が見込まれる」と説明。1年後の目標株価を148ドル引き上げ1170ドルに設定した。QUICK・ファクトセットの集計も、担当アナリストの7割が「買い」としている。

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World Market

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  11ページ  0文字  PDF有  書誌情報

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東南ア漫画開拓、あえて「紙」 通販限定で付録 KADOKAWA、韓国「縦読み」の成功に乗る

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  1986文字  書誌情報

 KADOKAWAがインドネシアで自社で出版する漫画とライトノベルの翻訳・販売に乗り出した。タイで築いた紙中心の販売ノウハウを生かす。さらに視線の先にあるのは東南アジアで先行する韓国勢のスマートフォン向け「縦読み漫画」だ。巨大プラットフォームで人気をつかんだ縦読み漫画の書籍化などで域内最大の市場の開拓を急ぐ。
 「人口が巨大で若い世代も多く、潜在力が大きな市場だ」
 1月初旬、インドネシアの首都ジャカルタのホテル。KADOKAWAの夏野剛社長は同国の出版大手グラメディア・アスリ・メディアとの合弁会社設立を発表した記者会見でこう力を込めた。
 グラメディアは出版・販売を手掛ける現地最大の出版社で、自社の書店数も120店を超える。KADOKAWAは合弁を通じ、24年には漫画やライトノベルなど100作品を翻訳・出版する計画だ。作品は書店に加え、合弁会社が運営する通販サイトでも扱う。
 対象作品はグラメディアと協力し、同国で多数派を占めるイスラム教徒に配慮したものを選ぶ。宗教で禁じる同性愛などがテーマの作品は扱わない方針だ。
 インドネシアで紙で展開するのは、2016年に東南アジアで先行して進出したタイでの成功体験があるからだ。
ファン取り込む
 タイの書籍流通では財閥系の卸売・小売企業が手数料決めで主導権を握る傾向が強い。逆に流通業者を介さない通販の利益率は書店販売の2倍に達する。KADOKAWAはここに目を付け、書籍に通販限定のフィギュアやタペストリーを付け通販サイトに顧客を誘導してきた。
 価格も3000~5000円と書籍単品の5倍に設定することもある。例えば1月末に発売したライトノベル「ようこそ実力至上主義の教室へ」の特装版は1475バーツ(約6000円)だ。通常版の約5倍だが、同作品のファンという27歳女性は「好きなキャラクターの学生証も手に入る。チャンスは逃せない」と話す。
 こうしたファンを取り込み、タイでは売上高の半分を通販が占める。同社はこの手法をタイと流通機構が似るインドネシアに持ち込む。
 調査会社マーケットラインによると、同国の28年の漫画市場は23年比3割増の1億3800万ドル(約200億円)に成長する。書籍全体でみると22年は8億ドルとタイの6億ドルを上回る。
 KADOKAWAは28年3月期に海外売上高を700億円と23年3月期比で約5割増やす目標を掲げる。東南アジア最大の人口を持つ同国で事業基盤を築ければ目標達成に近づく。
 東南アジアのコンテンツ市場で先行するのは、縦読み漫画を武器とする韓国勢だ。韓国ネイバーは世界で8500万人の月間利用者を抱え、各国の言語に翻訳した作品をスマホに配信する。製本や流通コストを削減でき、書籍と比べ出版社や作家側への収益配分も大きい。
 同社のプラットフォームには出版社や作家が集まり、コンテンツの厚みが増すことで顧客が増える循環が生まれている。近年は知的財産(IP)を持つ漫画作品のドラマ化といった収益源の多角化や、自前の編集部隊による作家育成にも乗り出している。
 縦読みはスマホの画面で見やすいようにイラストを縦方向にスクロールするのに対し、横読みが主流の日本漫画は1ページを複数のコマで構成する。読者は隙間時間に読む層と時間をかけて読む層に分かれる。
再構成し書籍化
 KADOKAWAは韓国勢とすみ分けしながら、その勢いを取り込む。巨大な販路に自社コンテンツを載せて裾野を広げつつ、縦読み漫画も扱うことで収益を伸ばすのだ。
 タイでは実例がある。韓国発の縦読み漫画「俺だけレベルアップな件」を日本風に再構成した漫画とライトノベルを刊行すると、月間売上高は同社がタイで扱う作品で1位になった。「日韓勢は相互依存の関係にある」(KADOKAWAの岩崎太郎タイ法人社長)といい、インドネシアでも同様の連携を探る。
 東南アジア市場の開拓には集英社も力を入れる。アプリを通じ連載作品の最新話を日本と同時に公開しており、23年10月時点で英語を含むタイ語やインドネシア語、ベトナム語など8言語で配信している。
 もっとも日本の出版各社が東南アジアでの事業展開を加速させるには課題もある。
 独コンサルティング大手、ローランド・ベルガーの下村健一アジアジャパンデスク統括は「インドネシアはタイに比べ、著作権の保護などが未成熟」と指摘する。日本を含む海外作品の輸入が妨げられてきたという。市場開拓には販売戦略と同時に海賊版の影響を抑える仕組みづくりも求められる。
(バンコク=井上航介、ソウル=細川幸太郎)
【図・写真】KADOKAWAははがきやタペストリーなどの限定商品で通販に誘導する(写真はライトノベル「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」の特装版)(C)Sunsunsun,Momoco/角川スニーカー文庫

パキスタン与党、政権維持で合意 連立パートナーと シャリフ氏、首相選出へ

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  1131文字  PDF有  書誌情報

 【ニューデリー=岩城聡】パキスタンで8日に行われた総選挙の結果を受け、シャバズ・シャリフ前首相が率いる与党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派=PML(N)=は13日、連立パートナーであるパキスタン人民党(PPP)などと政権を維持することで合意した。
 首相選出に必要な議席の過半数を獲得したとみられる。選挙はパキスタンの政治状況の不安定さを浮き彫りにした。
 収監中のカーン元首相が率いる野党パキスタン正義運動(PTI)は予想外の得票で最大勢力となった。選挙で不正があったと訴え独自の首相候補を立てて対抗するかまえだ。2億3000万人の人口を抱える核保有国の混乱は南アジアの大きなリスクとなる。
 PML(N)とPPPはシャリフ氏を次期首相候補とすることで合意した。同氏は13日「我々が集結したのは、特に経済において多くの課題に取り組む必要があったからだ」と述べた。
 PPPを率いるブット前外相は、首相選での協力を表明する一方、PML(N)と一定の距離をとる考えも示している。
 ブット氏は自身の父で2008~13年に大統領を務めた党幹部のザルダリ氏を大統領候補に擁立する見通しだ。PML(N)とPPPで首相と大統領を分け合うことで影響力を保持する。大統領は上下院や一部州議会からなる選挙人団によって選ばれる。
 カーン氏が支持する候補者は政党ではなく個人として出馬したため、PTIという党として政権を樹立することはできない。PTIはPML(N)やPPPとの連立を否定している。
 新政権が直面するのは、危機的状況にある経済の立て直しだ。中国からの多額の借り入れに伴う財政負担がのしかかるなか、新型コロナウイルス感染がもたらした打撃の後遺症も残る。1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で約3割上昇した。物価高が庶民の生活を直撃している。
 23年に国際通貨基金(IMF)から30億ドル(約4500億円)の支援を受けた。外貨準備は輸入額のわずか2カ月分程度(約80億ドル)に過ぎない。
 パキスタンはインフラ開発事業である「中国・パキスタン経済回廊(CPEC)」で中国からの借り入れが膨らんだ結果、15年に西部グワダル港の43年間の利用権を中国に譲り渡すことになった。
 「今回の選挙は、パキスタンの不安定で不確実な状況に拍車をかけた。安定性がなければ、再びパキスタン軍の政治関与が進み、最悪の場合、軍による新たなクーデターが起こらないとも限らない」とインドの外交専門家は見る。
 パキスタンの政治混乱は核管理をめぐる不安を膨らませる。パキスタンは「核の闇市場」を通じて核技術を北朝鮮やイランに流出させた過去を持つ。
【図・写真】記者会見に臨むシャリフ前首相(13日)=AP

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現代自動車、EV転換にブレーキ 市場伸び鈍く 高級車、ハイブリッドも開発

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  664文字  PDF有  書誌情報

 【ソウル=細川幸太郎】韓国の現代自動車が高級車ブランド「ジェネシス」でハイブリッド車(HV)を開発していることが14日わかった。同社は2025年以降に投入するジェネシスは電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に絞るとしていた。足元でEV市場の成長が鈍化しており、現代自も戦略転換を迫られた格好だ。
 複数の韓国メディアがジェネシスブランドでのHV開発を報じた。現代自は「具体的な計画は未定」とした。
 業界関係者によると、現代自は25年の発売を想定するジェネシス向けのハイブリッドエンジンや関連システムを開発しているという。主力モデル「GV80」や「GV70」などにハイブリッドモデルを追加する。現代自や起亜のブランドでもHVの品ぞろえを拡充する計画という。
 現代自は21年9月に25年以降に投入するジェネシスはEVとFCVだけにすると表明し、経営トップは「今回の発表はジェネシスの果敢な挑戦の出発点」と強調していた。この時点では中国や欧州を中心にエンジン車からEVへの急速な転換が続いていた。
 ただ23年下半期には欧米市場を中心にEVの拡大が失速した。現代自も23年通期のEV販売は約27万台と前年比29%増にとどまった。24年のEV販売目標を30万台としており、伸び率はさらに縮む見通しだ。
 EVシフトを強めていては販売低迷に陥るリスクがあると判断し、高級車ブランドでのHV投入を決めた。現代自の23年のHVの販売は前年比53%増の約38万台だった。
【図・写真】現代自はジェネシスで脱エンジンを掲げていた(昨年3月の展示会)

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タイのセントラル、成長投資1000億円 新店やデジタル販売に

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  544文字  PDF有  書誌情報

 【バンコク=赤間建哉】タイ小売り大手セントラル・リテール・コーポレーション(CRC)は2024年12月期の成長投資に最大240億バーツ(約1000億円)を投じると発表した。新店舗の開設やデジタル販売の拡大などに充てる。外国人観光客の増加で百貨店事業などが好調に推移しており、24年も増益を維持する見込みだ。
 同社のヨン・ポカサブ最高経営責任者(CEO)が12日の事業説明会で明らかにした。
 新たに百貨店2店舗のほか、スーパー「トップス」10店舗、23年に立ち上げた食品量販店「ゴーホールセール」7店舗を開業する。
 生成AI(人工知能)を使い、デジタル技術を融合させた販売改革を進める方針で、投資額の一部を開発費用に回す。23年の成長投資額は220億バーツだった。
 ヨンCEOは「優れたコスト管理能力を生かした財務基盤により、力強い成長を保っている」と話した。その上で24年12月期の連結業績について、売上高は前期比9~11%増、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は15~17%増になるとの見通しを示した。23年12月期の業績はまだ発表していない。
 CRCはタイ小売り財閥セントラル・グループの中核企業。タイ、ベトナム、イタリアなどに1700店舗以上の百貨店やスーパーを展開する。

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豪BHP、あすストへ 鉱山と港結ぶ貨車 鉄鉱石供給に影響

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  499文字  PDF有  書誌情報

 【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリアの資源会社BHPグループが運営する西豪州の鉄鉱石鉱山で16日からストライキが実施される見通しとなった。鉄鉱石の主産地であるピルバラの採掘現場とポートヘッドランド港を結ぶ貨車を運転する従業員が実施する。貨車での輸送に制限がかかり、鉄鉱石の供給に影響が及ぶ可能性がある。
 16日に24時間走行を停止するほか、17日から7日間は一部の列車で走行速度を通常より遅い時速30キロメートル以下に制限する。燃料などを運搬する列車の走行も停止する。
 豪紙オーストラリアンによるとピルバラ地区でストが発生するのは2008年以来、16年ぶり。会社との交渉が長期化すれば、鉄鉱石輸出の遅れなどの影響が及ぶ可能性がある。
 ストの計画は鉱業・エネルギー労働組合が明らかにした。組合側は待遇の改善を求めたが会社側と折り合えていない。同組合は「従業員やその家族のためにより良い条件の保証を求めている」とする。
 BHPの鉄道責任者、ウォーレン・ウェルビラブド氏は「組合側の要求を精査している。我々はストの必要なく合意できると考えている。ストが実施された場合の対応策も用意している」と述べた。

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大韓航空のアシアナ買収、欧州委が計画承認

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  194文字  PDF有  書誌情報

 【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は13日、大韓航空によるアシアナ航空の買収計画を承認したと発表した。同計画については各国の競争当局が競争上の問題がないか審査していた。EUが認めたことで、米国当局の判断を残すのみとなった。
 欧州委は大韓航空がアシアナのグローバルな貨物事業を売却するといった提案を評価したとの声明を出した。日本や英国などはすでに承認済み。

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「出社少なければ賞与減」 在宅勤務、豪州で転換点(アジアVIEW)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  1094文字  PDF有  書誌情報

 オーストラリアで従業員に出社を求める企業が増えている。豪大手銀は出社時間が基準を下回った場合、賞与を減額する方針だ。新型コロナウイルス禍を機に在宅勤務が広く普及したが、転換点を迎えている。
 豪州の四大銀行の一つ、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は2023年11月、従業員に送ったメールで、出社が勤務時間の半分を下回った場合、賞与が減る可能性があると通告した。同コモンウェルス銀行も同様の方針を掲げる。
 他にも保険大手のサンコープや電力大手のオリジン・エナジーが出社頻度と賞与額を関連づけ、より多くの従業員をオフィスに戻そうとしている。豪求人サイト最大手「シーク」によると、在宅勤務をうたう求人広告の割合が23年12月に9.4%と、同年4月に比べて1.6ポイント下がった。
 同年11月には労使裁定機関フェアワーク委員会(FWC)が、ある企業が100%在宅勤務を求めた従業員の要望を拒否し、最低40%の出社を求めたことは妥当だとする判断を下した。対面のコミュニケーションは生産性向上や訓練、チーム文化の形成で有効だと認めた。出社を求める企業の経営陣には朗報となった。
 ドイツのIfo経済研究所が23年に34カ国で4万人以上のフルタイム労働者を対象に行った調査によると、豪州の労働者は在宅勤務を週に平均1.3日していた。その頻度はカナダや英国に次いで4番目に高かった。希望する頻度は週2.2日だった。
 企業側はより良いオフィス環境を整備して出社を促しており、不動産市場にも影響が広がる。
 不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、豪州の主要都市では築年数が浅く、立地が良い優良ビルの需要が高まっている。豪州全体で中心ビジネス地区のオフィス空室率が1995年以来の高水準にあるが、テナントが「質」を求めて優良ビルに引き合いが集中している。
 豪不動産投資開発会社、チャーター・ホール・グループのデイビッド・ハリソン最高経営責任者(CEO)は昨年、豪メディアに「築30~40年のビルで10%台半ばの空室が発生し、市場は(近代的なビルと古いビルで)完全に二分化される」との見通しを示した。
 豪州では23年12月の失業率が3.9%と前年同月比で0.4ポイント上昇した。生活費の上昇で職を求める人や移民が増加したため、仕事を得るのが難しくなった。人手不足で労働者優位だった売り手市場は変わりつつあり、働き方もコロナ禍前の日常に戻る兆しが出ている。
(シドニー=今橋瑠璃華)
【図・写真】オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は出社頻度をボーナス額に反映する=AAP

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ベルルスコーニ邸、800億円 国外富裕層、購入関心か(英FT特約)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  12ページ  0文字  書誌情報

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インドネシア大統領選、プラボウォ氏が勝利宣言 経済重視のジョコ路線に支持 強権手法へ懸念強く

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  1656文字  PDF有  書誌情報

 【ジャカルタ=押切智義、田口翔一朗】インドネシア大統領選は14日に投開票され、主要調査機関の開票速報によると、プラボウォ国防相(72)の当選の可能性が高まっている。同氏はジョコ大統領(62)の実質的な支援を受け、支持を広げた。経済成長を重視した政策に評価が集まったが、国軍時代の強権的な手法に懸念も根強い。
 選挙戦はプラボウォ氏に加え、アニス前ジャカルタ特別州知事(54)、ガンジャル前中部ジャワ州知事(55)の3候補が争った。当選には有効投票の過半数の得票が必要で、該当者がいなければ6月26日に上位2候補による決選投票が行われる。
 主要な民間調査機関による独自の開票速報によると、開票率85~93%の段階でプラボウォ氏が57~59%の票を集め、アニス氏(24~25%)、ガンジャル氏(15~17%)を引き離している。
 プラボウォ氏は14日、調査機関の開票速報をもとに「我々の勝利を示している」と勝利宣言した。首都ジャカルタで支持者を前に「この勝利はインドネシア国民全員の勝利でなければならない」と語った。
 プラボウォ氏はスハルト独裁政権下の国軍幹部で、政界進出後は2014年、19年の大統領選に出馬し、ジョコ氏と戦って敗れた。
 今回の選挙ではジョコ氏の長男でスラカルタ市長を務めるギブラン氏(36)を副大統領候補に据えた。ジョコ氏の路線継承を掲げて、支持層を取り込んできた。
 プラボウォ氏はジョコ政権が進めた産業高度化に向けた政策を継続し、1900万人の雇用を創出する計画だ。鉱業や漁業、農業で未加工品の輸出を制限し、国内に加工など付加価値の高い産業を誘致する。地域の格差を是正するため、首都をジャカルタからカリマンタン島の「ヌサンタラ」へ移転する計画も継続する方針だ。
 成長重視の経済政策が広範な支持につながった。プラボウォ氏に投票した18歳の男子大学生は「インドネシアの発展には強力で確固たるリーダーが必要だ」と語る。
 一方、プラボウォ氏が強権的な指導者になる可能性を危惧する有権者は少なくない。同氏はスハルト政権下で、指揮する部隊が民主活動家の誘拐など人権侵害に関わった疑いが指摘されている。
 ガンジャル氏を支持する55歳の男性会社員は「人権を尊重しない人々によって国が導かれるのはよくない。民主主義が後退する可能性がある」と懸念する。
 プラボウォ氏は選挙戦ではSNSを駆使し、若者を中心に「かわいくてクール」(19歳の女子学生)とのイメージを浸透させたが、選挙戦の討論会ではアニス氏の厳しい質問に怒りをあらわにする場面も目立った。
 インドネシアは世界4位となる約2億7000万人の人口を抱える地域大国だ。14年に就任したジョコ氏は経済を重視し、新型コロナウイルス禍の一時期を除けば5%前後の成長を達成してきた。任期終盤でも7割以上の高い支持率を保つ。
 ジョコ氏は国会議席数の8割を超える与党連合を形成し、権限を集中させてきた。トップダウンで産業の育成に必要な政策や法律などを迅速に整えてきた手法には評価の声が多い。
 ただ、ジョコ政権への権力の監視機能が弱まった結果「民主主義の健全性は損なわれてきた」(立命館大学の本名純教授)との指摘もある。
 19年には法改正で強力な独立機関だった「汚職撲滅委員会」の権限が縮小し、22年に大統領や政府への侮辱の取り締まりを強化する刑法改正も行われた。今回の選挙でもジョコ氏長男の出馬を巡って、憲法裁判所の年齢要件を緩和する判断で不正が明らかになり、ジョコ氏の義弟である所長が更迭された。
 ジョコ氏がプラボウォ氏への支援の動きを強める中、貧困層への現金給付など「ばらまき」色の強い政策も相次ぎ、有名大学の教授陣などから選挙の公平性を疑問視する声が相次いだ。ガンジャル氏と、アニス氏の陣営はともに今回の投票で、プラボウォ氏に有利になるよう不正が起きていた可能性を主張した。
【図・写真】インドネシア大統領選で開票する投票所のスタッフら(14日、ジャカルタ)=小林健撮影

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インド、UAEと蜜月強調 モディ氏訪問7回目 経済回廊で協定、中国けん制

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  1426文字  PDF有  書誌情報

 【ドバイ=福冨隼太郎、ニューデリー=岩城聡】インドのモディ首相は13日、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、同国のムハンマド大統領らと会談した。両国はインドから中東を経由して欧州を結ぶ経済回廊構想を推進する協定を結んだ。インドは中東で存在感を高める中国をけん制し、湾岸諸国との関係を強める。
 13日、アブダビに到着したモディ氏は出迎えたムハンマド氏と抱擁を交わした。モディ氏のUAE訪問は14年の首相就任以降で7回目で、過去8カ月でも3回目となる。ムハンマド氏も1月に訪印したばかりで、両者の蜜月ぶりが際立つ。
 モディ氏は首脳会談で「UAEを訪問するたびに自分の家に来たような気分になる」と語った。ムハンマド氏は会談後、X(旧ツイッター)に「両国は両国民にとってより良い未来を築くという熱意で結ばれている」と投稿した。
 両国が今回結んだ協定は、2023年9月にインドで開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて発表された「インド・中東・欧州経済回廊」を前進させる狙いがある。
 経済回廊は鉄道や海上輸送網でインドからUAE、サウジアラビア、イスラエルなどを経由して欧州を結ぶ。米国が主導して打ち出し、広域経済圏構想「一帯一路」で中東での存在感を高める中国に対抗する狙いがあった。
 両国は今回結んだ協定の詳細を明らかにしていないが、インド側は「この問題に関するこれまでの理解と協力を基礎に、インドとUAEの協力を促進する」と説明した。
 インドにとって、回廊の最初の結節点に位置するUAEとの関係強化は不可欠だ。プロジェクトを通じて湾岸諸国との関係を強化することは、自国のエネルギー安全保障の強化にもつながる。
 中国は中東の地域大国サウジとイランの外交正常化を仲介するなど、中東への関与を強めている。経済回廊の実現はグローバルサウスの盟主を自任するインドにとって、中国をけん制し中東での影響力を高める意味合いもある。
 インドと湾岸諸国は近年、エネルギー貿易にとどまらず、協力分野を非石油分野の取引や投資、外交面に広げている。
 インドとUAEは22年2月、包括的経済連携協定(CEPA)を結んだ。両国間で取引する品目の8割近くの関税を撤廃する内容で、UAEにとっては初のCEPA締結となった。今回の会談では2国間の投資を促進する条約の締結で合意し、貿易分野での協力拡大に向けた覚書を交わした。
 インド商工省によると両国の貿易額は2022~23年に約850億ドルに達し、インドにとってUAEは米中に次ぐ3番目の貿易相手国だ。UAEにとってもインドは輸入や非石油部門の輸出などで上位を占めている。
 23年7月にモディ氏がUAEを訪問した際、両国は米ドル建てで実施している貿易決済を両国の通貨に切り替えることで合意した。決済にかかるコストを減らして2国間貿易を拡大させる狙いだ。
 モディ氏は今回、UAEを訪問した後に産ガス国カタールも訪れタミム首長と会談する。エネルギー分野や投資の拡大などについて協議する方針で、一連の訪問で湾岸諸国との関係をより強固にする。
 サウジやUAEにとっても、世界最大の人口を持ち経済成長の続くインドは投資先として魅力的な市場に映る。
 労働力の大半を外国人労働者に頼るUAEにとって、インドは重要な労働力の供給源となってきた。UAEの人口1千万人のうちインド人は350万人を占めるとされ、インド企業も相次いで進出する。

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トルコ大統領、11年ぶりエジプト訪問 首脳会談でガザ情勢協議

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  1082文字  PDF有  書誌情報

 【イスタンブール=木寺もも子】トルコのエルドアン大統領は14日、エジプトを訪問し、シシ大統領と会談した。2013年にシシ大統領が軍のクーデターで政権を奪取して以降、両国の外交関係は断絶状態だったが、最近になって正常化が進んでいた。パレスチナ自治区ガザ情勢などを協議する見込みだ。
 エルドアン氏のエジプト訪問は約11年ぶりとなった。両国関係はエルドアン氏と親密だったエジプトのモルシ政権が、クーデターで崩壊したことで悪化。エルドアン氏は軍を率いたシシ氏を「残忍な人殺し」と呼んで厳しく非難し、両国は互いに大使を追放した。
 両国は23年7月に互いに大使を任命、9月には20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれたインドで首脳会談を行った。今回の訪問は一連の関係正常化を確認し、加速する狙いがある。
 エルドアン氏は12日の演説で、ガザ情勢が最重要議題になると述べた。戦闘停止や、ガザと境界を接するエジプトを介した人道支援の強化について協議する。トルコ製ドローンの売却など、防衛・経済協力の拡大も図る。
 トルコは経済的な苦境や地域外交での孤立を受け、21年ごろからアラブ諸国への接近を模索した。13日には先に関係改善が進んだアラブ首長国連邦(UAE)を訪れ、ムハンマド大統領と会談したほか同国政府が主催する国際会議に出席した。
 トルコメディアによると、UAEとは過去3年の間に40件以上の覚書を交わし、23年の対UAE貿易額は21年比で4倍近い約200億ドル(約3兆円)に膨らんだ。16日にはトルコでサウジアラビアとの投資・ビジネス会議が開かれるなど、湾岸との関係改善は実を結びつつある。
 対エジプト関係の改善は遅れていたが、最近はガザ情勢を巡って緊密なやりとりが続く。エジプト、イスラエル、ギリシャなどが進めていた東地中海のガス開発協力も先行きがみえなくなったことで、枠組みから締め出されていたトルコには対エジプト接近の機会が生まれた。
 エジプトはロシアのウクライナ侵攻による食糧高などで外貨不足が深刻で、トルコからの投資や貿易の拡大に期待をかける。ガザをはじめ周辺地域で混乱が続くなか、情勢安定に向けて域内大国トルコと利害は一致する。
 半面、エジプトが非合法化したイスラム組織ムスリム同胞団を擁護してきたエルドアン政権への不信は根強い。それぞれが対立する勢力を支援するリビア内戦や東地中海を巡る確執も解きほぐすのは容易でなく、今後のトルコの出方を注意深くうかがう展開になりそうだ。
【図・写真】エルドアン氏(左)はシシ氏と会談した(14日)=トルコ大統領府提供・ロイター

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タイ最大野党、不敬罪改正を政策から削除 解党圧力かわす

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  993文字  PDF有  書誌情報

 【バンコク=井上航介】タイの最大野党「前進党」が、看板政策に掲げてきた王室に関する不敬罪改正の主張を抑えている。憲法裁判所が同政策に違憲判断を下したことを理由に解党圧力が強まっているためだ。今後は主要政策を国軍改革に切り替え、民主派政党としての存在意義を訴える。
 前進党は13日までに公式ウェブサイトに掲載している主要政策の一覧から王室への侮辱を罰する不敬罪に関する項目を削除した。国王が絶対的な権威を持つタイで不敬罪は重罪で、最高15年の禁錮刑が科される。前進党は刑期の短縮を訴えていた。
 不敬罪の改廃を訴える支持者とも距離を置いている。10日にバンコク中心部で王室改革を求める活動家と保守系の市民団体が衝突し、複数のけが人が出た。前進党は双方に冷静な対応を呼びかけるのみで、従来の活動家寄りの姿勢からの変化が見られた。
 前進党が意識しているのが1月末に憲法裁が下した判決だ。2023年5月の下院総選挙で同党が公約に掲げた不敬罪の改正は「国家転覆を意図したもの」と認定された。今後、同罪について議論することも事実上禁止となった。
 保守系の政治運動家らは判決を理由に前進党の解党と幹部の公民権停止を憲法裁に求めている。憲法裁は14年のクーデターで発足した軍政が指名した裁判官で占められている。前進党の処分は国軍のさじ加減で決まるとの見方が支配的だ。
 国王を後ろ盾とする国軍は前進党の台頭を警戒している。同党は昨年の選挙で最多の151議席を獲得したが、保守派の反対で当時のピター党首の首相選出に失敗した。今後も不敬罪の改正を訴え続ければ国家転覆の疑いで主要幹部が刑事訴追を受ける恐れもある。
 前進党が不敬罪に関する政策を封印する代わりに前面に打ち出しているのが国軍改革だ。1月末までに前進党主導の専門委員会を立ち上げ、週1回の頻度で会合を開いている。徴兵制の廃止や国軍幹部の削減を政府に働きかけるのが目的だ。
 「我々は国軍についてより詳細に研究する必要がある」。前進党のベンチャ下院議員は13日にバンコクの国会で開いた会合後にこう述べ、次回から国軍が経営する企業の実態などを調べる小委員会を複数設置する方針を明らかにした。
 国軍は現在も傘下の親軍政党を通じて国政に介入している。前進党は不敬罪改正のトーンを落としても政治からの国軍の排除を訴えて、民主派政党としての体裁を守りたい考えだ。

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パラオ「台湾と関係不変」 国務相、米の支援遅れに懸念

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  783文字  PDF有  書誌情報

 【スバ(フィジー)=今橋瑠璃華】パラオのアイタロ国務相は12日、フィジーの首都スバで日本経済新聞の取材に応じ、外交関係をもつ台湾について「両国関係は不変だ」と述べ、関係を維持する姿勢を示した。
 太平洋では1月にナウルが中国との国交を回復し、現在島しょ国で台湾と外交関係を結ぶのはパラオ、マーシャル諸島、ツバルのみだ。アイタロ氏は「台湾とは観光や医療、教育などの結びつきが強く、パラオにとり経済的な生命線だ」と強調した。
 島しょ国では経済援助を提供する中国の影響力が強まっている。アイタロ氏は「私の知る限り、中国から経済援助などをもちかけられたことはない」と述べた。
 パラオは米国とコンパクト(自由連合協定)を結ぶ。米国が経済支援をする代わりに軍事協力を得る内容だ。パラオは昨年、今年期限を迎える経済支援を更新することで米国と合意した。だが財政規律を重視する野党・共和党が経済支援に慎重で、米議会の承認が遅れている。
 米国はパラオに防空ミサイルの配備を検討している。
 アイタロ氏は承認の遅れが長期化すれば「軍事協力の分野に影響が及ぶ可能性がある」と懸念を示した。
 パラオは国内総生産(GDP)の4割を観光業に依存する。新型コロナウイルス禍の最悪期を経て、観光客は昨年に4万人まで回復したが「期待を下回る」という。ただ米軍などによる軍事演習が活発になっており「飲食店やホテル業など経済的な効果もある」と語った。
 空港の滑走路不足で観光客の受け入れが制限されていると指摘し「滑走路拡張で米国や日本、台湾に調査を依頼している」と述べ、協力への期待を示した。
 日本が海洋放出する東京電力福島第1原子力発電所の処理水については「国際原子力機関(IAEA)がモニタリングしており、過去3回の放出で問題はなかった。(安全性について)何の懸念もない」と話した。
【図・写真】アイタロ氏

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米閣僚、150年ぶり弾劾訴追 下院、国土安保長官に 不法移民の流入糾弾

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  707文字  PDF有  書誌情報

 【ワシントン=芦塚智子】米連邦議会下院は13日夜の本会議で、共和党が提出したマヨルカス国土安全保障長官を弾劾訴追する決議案を可決した。閣僚の弾劾訴追は約150年ぶり。南部国境に押し寄せる不法移民の対策の失敗を訴追の理由とした。
 民主党に加え共和党議員3人が反対に回り、賛成214票、反対213票の1票差だった。
 11月の大統領選と連邦議会選で国境問題を争点にしたい共和は、バイデン大統領と民主への攻撃に弾劾裁判を利用する狙い。訴追を受けて弾劾裁判を開く上院は民主が多数派のため、マヨルカス氏が実際に罷免される可能性は低い。
 弾劾訴追の決議案は、マヨルカス氏が移民法の順守を意図的に拒否し、不法移民の大量流入を招いたと糾弾した。国境対策を巡って虚偽の発言を繰り返して国民の信頼を裏切ったことも弾劾の根拠に挙げた。
 バイデン氏は声明で、マヨルカス氏の弾劾訴追を「下院共和党の違憲な党派主義のあからさまな行為」と非難。「下院共和党は国境の問題を解決するために我々と協力するか、政治利得の行動を続けるか決断しなくてはならない」と訴えた。
 米憲法は弾劾の対象を「大統領、副大統領と全ての文官」とし「反逆罪、収賄罪もしくはその他の犯罪と非行」で「有罪」になれば罷免できると定める。罷免には上院の出席議員の3分の2以上の賛成が必要だ。
 下院で僅差の多数派を占める共和は6日に弾劾訴追案の可決を試みたが、共和議員の造反や欠席で否決されていた。
 大統領ではジョンソン氏(1868年)、クリントン氏(1998年)に加えトランプ前大統領が2019年と21年に弾劾訴追を受けた。閣僚の弾劾訴追は1876年のベルナップ戦争長官以来2人目。

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米議員団、21日に訪台 FT報道 頼次期総統と会談

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  570文字  PDF有  書誌情報

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は13日、米議会下院中国特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(共和党)ら米国の議員団が21日に台湾を訪問すると報じた。議員団は、5月に就任する与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳・次期総統への支持を表明する。影響力を強める野党とのパイプづくりにも取り組むとみられる。
 頼氏や最大野党・国民党の韓国瑜氏との会談を予定する。韓氏は1日、立法院長(国会議長)に選出された。立法院長は、与野党で意見の隔たりの大きい法案や予算案などを巡って合意に向けた仲裁をする役割を担う。
 台湾では、1月13日投開票の立法委員(国会議員)選で米国との関係を重視する民進党の議席が過半数を割り込み、国民党が第1党となった。予算や法案の通過が不安定になり、米国との安全保障の連携の足かせになるとの懸念がでている。
 米国は台湾と国交を持たないが、軍事や経済分野で協力関係を構築するために議員団の訪台が相次ぐ。
 1月25日には米下院で台湾議連の共同議長を務めるマリオ・ディアスバラート議員(共和党)とアミ・ベラ議員(民主党)が台湾で、頼氏や蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した。
 中国の反発は必至だ。ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が2022年8月に台湾を訪れた際には、中国は台湾本島を取り囲むように大規模な軍事演習を実施した。

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イスラエルや米国、ガザ休戦へ4カ国協議 大きな進展なし

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  13ページ  562文字  PDF有  書誌情報

 【カイロ=久門武史】パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘休止に向け、同国と仲介役の米国、エジプト、カタールの情報機関トップらが13日、カイロで協議した。ロイター通信は大きな進展なく終了したと報じた。
 イスラエルのメディアは、同国代表団がカイロから帰途についたと伝えた。エジプト政府の発表によると、協議にはイスラエルの情報機関モサドのバルネア長官、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官、カタールのムハンマド首相兼外相が出席した。
 米紙ニューヨーク・タイムズは、4カ国が実務者レベルの協議をさらに3日間続けると伝えた。
 バイデン米大統領は12日、少なくとも6週間の戦闘休止を働きかけていると述べた。
 4カ国が1月にパリでまとめた休戦案に対し、ハマスは2月6日の回答で135日間の休戦を提示し、イスラエル軍のガザ撤退と恒久停戦を求めた。イスラエルのネタニヤフ首相が7日に拒否していた。
 ネタニヤフ氏はハマス壊滅を掲げ、ガザ最南部ラファに地上侵攻する姿勢を強調している。ラファには避難民ら100万人以上が密集し、国際社会は犠牲の拡大に懸念を強める。国連のグリフィス事務次長(人道問題担当)は13日の声明で「虐殺につながる恐れがある」と警告した。
【図・写真】避難民が集まるガザ最南部ラファ(13日)=ロイター

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ローソン、幻のENEOS参画 トップ解任で辞退 KDDIと2社に 三菱商事、単独経営に限界

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  1738文字  PDF有  書誌情報

 KDDIによるローソンへのTOB(株式公開買い付け)を巡り、石油元売り最大手のENEOSホールディングス(HD)も参画する方針だったことが、わかった。ENEOSは2023年12月に経営トップが解任されたため辞退し、三菱商事を含めた3社による共同経営は幻に終わった。それでも三菱商事が短期間でKDDIとの共同経営を実現させたのは、単独でのローソン経営に限界があったからだ。
 「パートナー候補者は2023年12月25日付で本取引(当初案)に関する提案辞退の申し入れを正式に提出した」
 2月6日、KDDIが開示したTOBに関する資料に異例の文言があった。候補者の企業名は書かれていないが、複数の関係者は「ENEOSの参画はほぼ決まっていた」と指摘する。
契約締結を優先
 三菱商事は23年5月にKDDIとENEOSに共同経営を打診した。10月からデューデリジェンス(資産査定)も始まり、3社による枠組みは固まっていた。
 ローソンに対する三菱商事の出資比率は50.1%。3社の共同経営になった場合は、「三菱商事が50%を下回る案もあった」(金融関係者)。
 だが、12月19日にENEOSの社長が解任され、事態が変わる。同社はガソリン需要の縮小でコンビニ事業の参画に意欲をみせていた。給油所と併設など収益てこ入れに魅力を感じていたが、経営トップが不在となり枠組みから離脱した。
 三菱商事はENEOSが不在で、全体のスキームが壊れるのを恐れた。決断を迫られたKDDIはより手厚い支援ができると考え、株価が下がるリスクを承知で出資額の引き上げに踏み込んだ。
 1月からのスキームの再構築で、焦点は出資比率だった。どちらが主導権を取るかで交渉に時間がかかる可能性がある。三菱商事はKDDIと50%ずつの折半出資を決めた。経営体制などで今後意見が対立する恐れがあるが、短期間での契約成立を優先した。
 なぜ、三菱商事は契約を急いだのか。「これ以上、(ローソンを)サポートできる部分があるのか悩んでいた」。中西勝也社長は焦っていた。
業界3位に焦り
 三菱商事は00年にローソンに資本参加し、株式を段階的に買い増ししてきた。新浪剛史氏(現サントリーHD社長)を送り込むなど経営に関与してきたが、ローソンの収益は伸び悩んでいた。
 食料・流通部門のトップだった垣内威彦前社長(現会長)はローソンの社外取締役を務めたことがある。垣内氏は16年の社長就任時にコンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンに引き離される現状に危機感を抱いた。
 17年に立て直しへローソンの子会社化に踏み切った。出資する伊藤ハム・米久など食料・食品分野での調達・流通網を一気に構築したが、セブンの背中は遠かった。
 コンビニの競争力の指標である平均日販(1店舗当たりの売上高)。足元で約55万円と17年2月期の54万円からあまり変わらない。セブンとはなお15万円程度の差があり、ファミリーマートにも逆転された。ローソンは業界3位が定着した。
 高収益の資源事業を中核に1兆円規模の純利益を稼ぎ出す三菱商事にとって、ローソンは「非資源の低効率資産の代表格」(外資系証券アナリスト)。22年に社長に就いた電力部門出身の中西社長はローソンを重要な経営課題と位置付けた。
 中西社長はローソンを持ち分法適用会社にして資産効率を改善させ、同時に過去最大の5000億円の自社株買いも公表した。市場から資本政策では満点の回答との声もあり、上場来高値を更新した。
 ただ、今回は中西社長の思惑通りになったが、将来にわたってこれが正解とは言い切れない。伊藤忠商事は逆にファミマを実質的に完全子会社化して流通改革に挑んでいる。
 「三菱商事はもはや商社ではない」。中西社長はこう強調する。デジタルや人工知能(AI)時代に従来の事業部門ごとの縦割りでは限界を痛感する。
 著名投資家ウォーレン・バフェット氏は商社の事業モデルを評価し、5大商社の大株主になった。戦略が分かれた流通事業で新たなお墨付きを得るのはどちらか。ローソンの共同経営は、流通業界の再編を主導してきた商社の転機となる。
(大西智也)
【図・写真】複数の関係者が「ENEOSの参画はほぼ決まっていた」と指摘する

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アップル一部サービス、欧州規制の対象外に マイクロソフトも

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  500文字  PDF有  書誌情報

 【シリコンバレー=清水孝輔】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は13日、3月に本格適用する巨大テクノロジー企業を対象とした規制を巡り、米アップルと米マイクロソフトの一部のサービスを対象にしないと発表した。両社の主張を受けて市場調査し、競争環境に悪影響を及ぼすサービスにあたらないと判断した。
 アップルはスマートフォン「iPhone」間だけで様々な機能を使える「iMessage(アイメッセージ)」が欧州規制の適用外になる。マイクロソフトは検索エンジン「Bing(ビング)」、閲覧ソフト「Edge(エッジ)」、広告基盤「マイクロソフト広告」が対象にならなかった。
 EUは2022年、テクノロジー分野での競争促進を目的にデジタル市場法(DMA)を施行し、23年9月に同法に基づいてマイクロソフトなど6社の22サービスを適用対象にすると公表した。それに加えてアップルとマイクロソフトの一部のサービスについても市場調査をしたうえで判断する考えを示していた。
 欧州委員会が指定した両社の他の主力サービスは規制対象となる。アップルはアプリストア、マイクロソフトはクラウドなどで規制に対応する必要がある。

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電通グループ、最終赤字 前期107億円 アジア不振で減損

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  253文字  PDF有  書誌情報

 電通グループが14日発表した2023年12月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が107億円の赤字(前の期は598億円の黒字)だった。これまでは333億円の黒字を見込んでいたが、3年ぶりに赤字に転落した。景気懸念で広告予算を絞る動きが広がるなか、中国やオーストラリアの広告事業の不振などで23年10~12月期に減損損失531億円を計上した影響を受けた。
 同日、200億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。
 最大で発行済み株式総数の4%弱にあたる1000万株を15日から10月31日までに取得する。

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ダイハツ労組がベア要求せず 11年ぶり、認証不正で

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  250文字  PDF有  書誌情報

 ダイハツ工業の労働組合は14日、2024年の春季労使交渉で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を要求しないと発表した。ベア要求を見送るのは13年以来11年ぶり。ここ数年、月額給与の5.5カ月分以上を掲げてきた年間一時金についても、5.0カ月分の要求にとどめた。
 他の自動車メーカーの労組が高水準のベアを掲げる中で、ダイハツ労働組合は要求を見送った。「(認証試験での)不正問題の影響が広がる中、雇用の維持を最優先に考えた」と理由を説明した。不正の再発防止に向けて、職場風土の改革も要求したという。

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NHK、平日午後に生放送 5時間の情報番組

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  177文字  PDF有  書誌情報

 NHKは14日、4月の番組改編で平日午後1~6時の5時間、総合テレビで情報番組の生放送を始めると発表した。約3時間の番組を新設するほか、既存の生放送番組も時間を拡大する。昼間の時間帯にまとまった生放送の枠を確保し、災害や事件・事故などのニュースを迅速に伝える狙い。
 新たに始まる「午後LIVE ニュースーン」は中継を交え、最新ニュースを視聴者に届ける。

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日経BP社長 井口氏が昇格

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  158文字  PDF有  書誌情報

 日経BPは14日、井口哲也副社長(60)が3月27日付で社長CEOに就任する人事を内定した。吉田直人社長(64)は代表権のある会長に就く。
 井口 哲也氏(いぐち・てつや)85年(昭和60年)早大政経卒、日本経済新聞社入社。17年執行役員東京・編集局総務、19年常務東京・編集局長、23年日経BP副社長。兵庫県出身。

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オフィス回帰どう促す 三井不動産社長 植田俊氏 街全体で「行きたい場」作り(そこが知りたい)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  1349文字  PDF有  書誌情報

 在宅勤務やテレワークが定着し、オフィス出社率は新型コロナウイルスの感染拡大前の7割程度にとどまる。都心部では大型再開発プロジェクトにより、一定量のオフィスの供給が続く見通しだ。需給が緩む懸念もあるなか、どう需要を創出するのか。三井不動産の植田俊社長に聞いた。
 ――オフィス出社率がコロナ禍前の水準に戻ることはないでしょうか。
 「コロナ禍を経て、業種によっては、都心部にあるオフィスで働く必要はないという考えが生まれた。米国では出社率が(コロナ禍前の)半分程度だ。日本でも1~2割は戻ってこないだろう。一方で人が集まって雑談や交流をすることからイノベーションが生まれるというオフィスの価値も改めて見直されている」
 ――オフィス回帰をどう促しますか。
 「行きたくなるオフィスを作る必要がある。例えば、カフェやイベント空間を設けるといったことだ。オフィスや商業施設を複合開発し、買い物や食事もしたくなる魅力を街全体で作ることも重要だ」
 「テナント従業員の運動を促すアプリの提供や、健康経営コンサルティングなど、テナント企業向けのサービスも欠かせない。オフィスに来ることの価値をいかに提案できるかが、オフィスビル・オフィス街同士の競争の勝敗を左右する」
 ――2023年はオフィスが大量供給されました。24年は前年比で減る見通しですが、25年以降は再び増えそうです。
 「新築オフィスのリーシング(テナント誘致)は順調だが、他社も含めて供給が増えるのは事実だ。テナントの引き抜き合いにならないよう、ソフトサービスなどを通じて(三井不が手掛けるオフィス街に行きたくなるような)『経済圏』をつくる必要がある」
 ――不動産各社はオフィスの新たな借り手になってもらおうとスタートアップ支援に力を入れています。
 「東京・日本橋地区ではライフサイエンスや宇宙開発関連のスタートアップを集めている。スタートアップとの提携をめざす大企業も来るようになった。人材や情報が集まることで、街区が『聖地』となり、さらに人や企業を呼び込める」
 ――建築コストの上昇が見込まれ、再開発計画への影響は避けられません。
 「一番頭が痛い課題だ。これから動き出すプロジェクトでは(コスト上昇を)多少織り込んでいる。ただ、採算性から事業の見直しや撤退も視野に入る案件もあるだろう。オフィスの価値を訴えることで、賃料引き上げを受け入れてもらえる素地を作りたい」
うえだ・たかし 1983年(昭58年)一橋大経卒、三井不動産入社。20年取締役常務執行役員、21年取締役専務執行役員、23年から現職。京都府出身。62歳
交流が生む価値 実感できる場に
 不動産サービス大手シービーアールイー(CBRE)によると、21年7~9月に平均51.9%だったオフィス出社率は、23年7~8月には70.6%まで回復した。一方で2~3年後の出社率想定も71%とそこからほぼ変わらない。
 オフィス不要論に対し、三井不動産をはじめとする不動産各社はイノベーションにつながる交流を生み出す意義を説く。24年以降も首都圏を中心に、大型再開発で新規オフィスの供給が続くなか、その意義を実感できる機能を持ったオフィスを開発し、価値を企業に伝えられるかが競争軸となってくる。
(田村修吾)

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ロイヤルコントラクトサービス 佐々木貴央氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  149文字  PDF有  書誌情報

 ◇ロイヤルコントラクトサービス
 佐々木 貴央氏(ささき・たかお)92年(平4年)東北福祉大社会福祉卒、ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。24年1月ロイヤルコントラクトサービス空港営業本部本部長。北海道出身。54歳
(3月27日就任。佐々木徳久社長はロイヤルホールディングス専務執行役員に)

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サークレイス 佐藤司氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  142文字  PDF有  書誌情報

 ◇サークレイス
 佐藤 司氏(さとう・つかさ)93年(平5年)米アイオナ大卒。00年Pasona International(現Pasona NA)入社。11年パソナ社長、12年サークレイス社長、20年会長。米国出身。53歳
(4月1日就任。佐藤司氏は会長も兼務。佐藤潤社長は取締役に)

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アゴーラホスピタリティーグループ ウィニー・チュウ・ウィン・クワン氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  139文字  PDF有  書誌情報

 ◇アゴーラホスピタリティーグループ
 ウィニー・チュウ・ウィン・クワン氏 02年(平14年)英ロンドン大卒、マレーシアランドプロパティーズ社ディレクター。19年アゴーラホスピタリティーグループ取締役。香港出身。43歳
(3月26日就任。クォック・ゲイリー・ヤン・クエン社長は退任)

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BuySellTechnologies 徳重浩介氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  136文字  PDF有  書誌情報

 ◇BuySell Technologies
 徳重 浩介氏(とくしげ・こうすけ)06年(平18年)立教大社会卒、リクルート(現リクルートホールディングス)入社。20年飲食Divisionディビジョン長。鹿児島県出身。41歳
(4月1日就任。岩田匡平社長は代表権のある会長に)

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ジャパンクラフトホールディングス 西浦敦士氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  133文字  PDF有  書誌情報

 ◇ジャパンクラフトホールディングス
 西浦 敦士氏(にしうら・あつし)89年(平元年)東大経卒、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。21年藤久代表取締役常務。22年ジャパンクラフトホールディングス代表取締役常務。大阪府出身。57歳
(2月28日就任。中松健一社長は退任)

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ロイヤルフードサービス 川勝邦弘氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  132文字  PDF有  書誌情報

 ◇ロイヤルフードサービス
 川勝 邦弘氏(かわかつ・くにひろ)96年(平8年)関西学院大商卒、ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。24年ロイヤルフードサービス営業本部長。大阪府出身。51歳
(3月27日就任。生田直己社長はロイヤルホールディングス執行役員に)

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KPPグループホールディングス 坂田保之氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  127文字  PDF有  書誌情報

 ◇KPPグループホールディングス
 坂田 保之氏(さかた・やすゆき)82年(昭57年)横国大経営卒、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。22年KPPグループホールディングス常務執行役員、23年副社長。兵庫県出身。66歳
(6月下旬就任。栗原正社長は取締役に)

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ダントーホールディングス 前山達史氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  125文字  PDF有  書誌情報

 ◇ダントーホールディングス
 前山 達史氏(まえやま・たつし)92年(平4年)大原学園大原簿記専門学校卒、ダントーホールディングス入社。18年取締役、23年代表取締役副社長。兵庫県出身。53歳
(2月14日就任。加藤友彦会長兼社長は代表権のある会長に)

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SharingInnovations 信田人氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  121文字  PDF有  書誌情報

 ◇Sharing Innovations
 信田 人氏(のぶた・じん)99年(平11年)東京農工大工卒、日本電信電話(現NTT)入社。23年Sharing Innovations取締役。千葉県出身。47歳
(3月27日就任。樋口昂之社長は退任)

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クリエートメディック 佐藤正浩氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  120文字  PDF有  書誌情報

 ◇クリエートメディック
 佐藤 正浩氏(さとう・まさひろ)83年(昭58年)神奈川大卒、クリエートメディック入社。02年取締役、13年社長、23年代表取締役会長。神奈川県出身。63歳
(2月13日就任。佐藤氏は会長も兼務。谷口英彦社長は退任)

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メルシャン 大塚正光氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  118文字  PDF有  書誌情報

 ◇メルシャン
 大塚 正光氏(おおつか・まさみつ)93年(平5年)法政大経卒、キリンビール入社。18年華潤怡宝飲料(中国)投資有限取締役、23年芳珂(上海)貿易有限管理本部本部長。大阪府出身。54歳
(3月28日就任。長林道生社長は退任)

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キリンビバレッジ 井上一弘氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  117文字  PDF有  書誌情報

 ◇キリンビバレッジ
 井上 一弘氏(いのうえ・かずひろ)88年(昭63年)青学大経卒、キリンビール入社。18年執行役員、19年常務執行役員。埼玉県出身。58歳
(3月28日就任。吉村透留社長はキリンホールディングス取締役常務執行役員に)

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データセクション 岩田真一氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  116文字  PDF有  書誌情報

 ◇データセクション
 岩田 真一氏(いわた・しんいち)98年(平10年)阪大経卒、富士銀行(現みずほ銀行)入行。22年データセクション取締役CFO、23年代表取締役副社長CFO。鳥取県出身。49歳
(2月14日就任。林健人社長は退任)

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第一生命テクノクロス 安藤伊佐武氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  114文字  PDF有  書誌情報

 ◇第一生命テクノクロス
 安藤 伊佐武氏(あんどう・いさむ)96年(平8年)東大工卒、第一生命保険入社。22年第一フロンティア生命保険執行役員。50歳
(4月1日就任。佐藤智社長は会長に。同日付で第一生命情報システムから社名変更)

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サイバーリンクス 東直樹氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  113文字  PDF有  書誌情報

 ◇サイバーリンクス
 東 直樹氏(ひがし・なおき)79年(昭54年)名古屋工業大卒、93年近畿中部レジホンセンター(現サイバーリンクス)入社。12年常務。和歌山県出身。67歳
(3月27日就任。村上恒夫社長は代表権のある会長に)

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協和発酵バイオ 深田浩司氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  108文字  PDF有  書誌情報

 ◇協和発酵バイオ
 深田 浩司氏(ふかだ・こうじ)90年(平2年)東大院修了、キリンビール入社。22年キリンホールディングス常務執行役員、協和発酵バイオ取締役。宮崎県出身。58歳
(3月28日就任。神崎夕紀社長は退任)

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三井海洋開発 宮田裕彦氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  106文字  PDF有  書誌情報

 ◇三井海洋開発
 宮田 裕彦氏(みやた・ひろひこ)87年(昭62年)東大院修了、三井物産入社。22年専務執行役員、23年三井海洋開発取締役副社長執行役員。鹿児島県出身。61歳
(3月27日就任。金森健社長は会長に)

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日阪製作所 宇佐美俊哉氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  102文字  PDF有  書誌情報

 ◇日阪製作所
 宇佐美 俊哉氏(うさみ・としや)83年(昭58年)佐賀大理工卒、日阪製作所入社。19年取締役、22年取締役常務執行役員。大阪府出身。64歳
(4月1日就任。竹下好和社長は代表権のある会長に)

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藤田観光 山下信典氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  99文字  PDF有  書誌情報

 ◇藤田観光
 山下 信典氏(やました・しんすけ)84年(昭59年)国際観光専門学校卒、藤田観光入社。20年執行役員、24年1月常務執行役員。三重県出身。61歳
(3月27日就任。伊勢宜弘社長は会長に)

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エイチワン 真弓世紀氏(新社長)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  92文字  PDF有  書誌情報

 ◇エイチワン
 真弓 世紀氏(まゆみ・せいき)91年(平3年)法政大経卒、ヒラタ入社。15年エイチワン執行役員、23年上席執行役員。三重県出身。56歳
(6月下旬就任。金田敦社長は退任)

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日本経済新聞社(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  1746文字  PDF有  書誌情報

 日本経済新聞社人事
 (3月28日)副社長サブスクリプション事業統括(専務ライフ&キャリアビジネス統括)CDIO渡辺洋之▽同(専務)総務/HR/管財/製作統括阪本浩伸▽インデックス事業統括(情報サービス担当)常務情報サービス統括飯田展久▽常務ライフ&キャリアビジネス統括(常務執行役員西部支社代表)今川京子▽同財務統括(執行役員財務担当兼財務本部長)松尾朗▽同映像戦略統括(同編集 ニュース・エディター)発田真人▽同経営企画/法務/出版統括(同経営企画室長)藤井一明▽取締役、日経BP社長CEO井口哲也
 監査役(日経BP専務)影井正美
 専務執行役員西部支社代表(常務経営企画/法務/出版統括)今井俊之▽同(常務執行役員)インデックス事業担当越中秀史▽同(同)サブスクリプション事業副統括兼エリアセールス担当佐熊龍治
 コーポレート基盤担当(コーポレート基盤ユニット長)常務執行役員倉本晃治▽常務執行役員(執行役員プラットフォーム推進室長)ライフ&キャリアビジネス担当渡辺雄一郎▽同(同)メディアビジネス担当牧江邦幸▽同情報サービス担当(同事業企画室長)田中直巳▽同論説委員長(上級論説委員兼編集 総合解説センター編集委員)菅野幹雄
 執行役員、メディアビジネス 広告コミュニケーションユニット長隅浩一郎▽同プラットフォーム推進室長、技術戦略ユニット長赤沢大典▽同、京都支社長藤賀三雄▽同、情報サービスユニット長米山雄介▽同、法務・コンプライアンス室長兼コンプライアンスセンター長雨宮義敬▽同経営企画室長(編集 ニュース・エディター)宮東治彦▽同編集 ニュース・エディター(編集 特命担当)白木緑
 上席専任役員展覧会担当(常務執行役員)ライフ&キャリアビジネス統括補佐伊藤圭子▽同グローバル事業統括補佐、イベント企画担当(同メディアビジネス統括補佐)塩崎祐子▽同映像戦略統括補佐、渉外担当(同映像戦略担当)梅谷哲夫▽同、Nikkei Asia副発行人を解く(同)グローバル事業統括補佐、グローバルアライアンス担当渡辺園子
 専任役員(執行役員)財務統括補佐木村研三▽同(同)HR統括補佐(人財育成・採用担当)阿部淳
 退任(副社長)平田喜裕=エグゼクティブアドバイザーに就任▽同(専務)森田勝久▽同(常務)松本元裕▽同(取締役)吉田直人▽同(監査役)三宅誠一▽同(専務執行役員論説委員長)藤井彰夫=論説主幹に就任▽同(執行役員)船木隆▽同(同)野崎勇次郎▽同(同)下原口徹▽同(同)大野哲也
 (4月1日)ライフ&キャリアビジネス 人財・教育事業ユニット長(教育事業ユニット長)戸堀勇人▽メディアビジネス 広告コミュニケーションユニット副ユニット長(大阪本社広告コミュニケーションユニット長)メディアビジネス統括補佐菊原周平▽製作統括補佐(大阪本社製作本部長)田中博司▽メディアビジネス統括補佐(Nブランドスタジオ長)Nブランドスタジオ担当松岡克紀▽札幌支社長(広報室長)高野真純▽ライフ&キャリアビジネス担当補佐(ライフ&キャリアビジネス IDビジネスユニット長)川竹治▽グローバルユニットFTグループ長、グローバルユニット長下田英一郎▽事業企画室長、重森泰平▽広報室長、犬童文良▽HR本部長、首藤純▽財務本部長、蔵密英一▽映像戦略本部長、野々下和彦▽日経LIVE室長、遠藤知樹▽コーポレート基盤ユニット長、泉慎一▽日経イノベーション・ラボ所長、松本幸祐▽グローバル事業担当、田中文子▽Nikkei Asia副発行人、グローバル事業統括補佐兼グローバルユニットNikkei Asiaグループ長豊福浩▽メディアビジネス Nブランドスタジオ長、藤原仁美▽メディアビジネス 大阪本社広告コミュニケーションユニット長、藤尾典篤▽ライフ&キャリアビジネス 文化事業ユニット長、椛島裕一▽大阪本社製作本部長、奥田徹哉▽秘書室長、加藤貴行▽監査役室長、銀木晃
 ※統括取締役を補佐して専門性の高い業務を推進する専任役員を新設する。専任役員の中でも特に高度で専門的な業務にあたる者を上席専任役員とする。
 ▼機構改革=ライフ&キャリアビジネスのIDビジネスユニットと教育事業ユニットを統合し、人財・教育事業ユニットとする。

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QUICK(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  303文字  PDF有  書誌情報

 QUICK
 (3月26日)専務経営企画・法務統括兼グループ連携・サステナブル経営担当(日本経済新聞社常務)松本元裕▽専務(常務)佐々木政洋▽同(同)長谷川博▽同次世代金融サービス推進・ITインフラ・イノベーション推進統括(同)末武雅久▽常務ひとづくり・労務統括(取締役)高瀬直子▽常務(同)網代淳一▽同ITインフラ担当(同)津川悟▽取締役データソリューション事業・ナレッジコンテンツ統括、渡部さとる▽監査役、保母拡一朗▽退任(会長)近藤勝義▽同(取締役)山野容揮▽同(監査役)為定明雄
 (4月1日)専務執行役員、坂本誠太▽同金融プロダクト事業・次世代金融サービス推進担当、小松原基信▽常務執行役員、谷口晶

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日経BP(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  145文字  PDF有  書誌情報

 日経BP
 (3月27日)会長(社長)吉田直人▽社長CEO(副社長)井口哲也▽取締役(日本経済新聞社執行役員HR本部長)野崎勇次郎▽監査役(日経リサーチ取締役)赤星和彦▽退任(専務)影井正美▽同(監査役)大塚敏生▽執行役員(日本経済新聞社CDIO補佐兼日経イノベーション・ラボ所長)藤田雅巳

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日経東京製作センター(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  122文字  PDF有  書誌情報

 日経東京製作センター
 (3月27日)退任(専務)大島貴士▽同(取締役)室井晃
 日経東日本製作センター
 (日経東京製作センターと日経首都圏印刷が合併し、4月1日より新社名)
 (4月1日)会長、小村稔郎▽常務、松原健治▽同、藤原弘明▽同、糟谷瑞樹

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日経リサーチ(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  108文字  PDF有  書誌情報

 日経リサーチ
 (3月27日)常務(取締役)橘高聡▽取締役(日経中国社社長)北代望▽同、安部真木▽同、新田雄己▽監査役、森田勝久▽退任(会長)福本敏彦▽同(取締役)赤星和彦▽同(同)小島知香子▽同(監査役)野々市純彦

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日経西日本製作センター(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  101文字  PDF有  書誌情報

 日経西日本製作センター
 (3月25日)社長(日本経済新聞社執行役員製作担当)大野哲也▽取締役(日経首都圏印刷取締役)京増久夫▽同、影山勲▽退任(社長)丸山正人▽同(常務)杉本幸久▽同(取締役)佐野雅一

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日経イベント・プロ(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  93文字  PDF有  書誌情報

 日経イベント・プロ
 (3月27日)社長(専務)迫宏治▽専務イベント事業担当(取締役)坪崎哲夫▽取締役管理・労務担当、中村均▽取締役、中嶋良▽退任(社長)中畑孝雄▽同(取締役)柴本真由美

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日経メディアマーケティング(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  90文字  PDF有  書誌情報

 日経メディアマーケティング
 (3月27日)取締役(日本経済新聞社財務本部長補佐)薬師寺詳二▽常任監査役(日経リサーチ取締役)赤星和彦▽退任(常務)依田祐▽同(常任監査役)大塚敏生

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日経メディアプロモーション(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  81文字  PDF有  書誌情報

 日経メディアプロモーション
 (3月27日)会長(社長)柿木英人▽社長(常務)佐藤啓紀▽取締役、近沢雅巳▽同、小熊由美子▽退任(取締役)植田雅郁▽同(同)藤原裕典

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QUICKE―Solutions(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  74文字  PDF有  書誌情報

 QUICK E―Solutions
 (3月25日)専務(QUICK取締役)山野容揮▽常務(取締役)我妻徳久▽取締役、松丸公士▽退任(専務)川北修一

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日経ピーアール(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  71文字  PDF有  書誌情報

 日経ピーアール
 (3月26日)社長(常務)松本良一▽取締役(日本経済新聞社エリアセールスユニット副ユニット長)梶ケ谷登▽退任(社長)山崎敬一

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日経統合システム(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  69文字  PDF有  書誌情報

 日経統合システム
 (3月26日)取締役(日本経済新聞社サブスクリプション事業デジタル編成ユニット長補佐)松村達也▽退任(取締役)宮崎義夫

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日本経済社(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  68文字  PDF有  書誌情報

 日本経済社
 (3月27日)常務(取締役)中村弘美▽取締役、本多宏顕▽同、平井美英子▽同、和田道哉▽退任(専務)小泉喜由▽同(同)岡田修

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日経映像(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  63文字  PDF有  書誌情報

 日経映像
 (3月27日)社長(副社長)篠原洋一▽専務(常務)中嶋潤一▽取締役、原孝二▽退任(社長)源関隆▽執行役員、日向正典

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日経中国(香港)社(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  63文字  PDF有  書誌情報

 日経中国(香港)社
 (3月27日)社長(日本経済新聞社グローバルユニットビジネス開発グループ長)長尾久嗣▽退任(社長)北代望

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日本経済新聞社健康保険組合(人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  56文字  PDF有  書誌情報

 日本経済新聞社健康保険組合
 (4月1日)常務理事(日経プラザ&サービス取締役)関朋子▽退任(常務理事)水沢尚久

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日経編集制作センター(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  52文字  PDF有  書誌情報

 日経編集制作センター
 (3月27日)常務(取締役)新保勝彦▽取締役(日経東京製作センター取締役)室井晃

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日経ナショナルジオグラフィック(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  50文字  PDF有  書誌情報

 日経ナショナルジオグラフィック
 (3月27日)社長(日経BP執行役員)田中祐子▽退任(社長)滝山晋

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日経プラザ&サービス(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  48文字  PDF有  書誌情報

 日経プラザ&サービス
 (3月27日)退任(専務)柳川茂治▽同(取締役)高橋啓隆▽同(同)関朋子

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日経HR(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  44文字  PDF有  書誌情報

 日経HR
 (3月27日)常務(取締役)林慎一▽取締役、吉田千秋▽退任(取締役)大塚栄一

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テレビ東京(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  37文字  PDF有  書誌情報

 テレビ東京
 (4月1日)社長付(日本経済新聞社映像戦略本部長)大久保直和

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日経首都圏印刷(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  37文字  PDF有  書誌情報

 日経首都圏印刷
 (3月27日)退任(取締役)京増久夫▽同(監査役)広瀬真

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日本経済研究センター(人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  27文字  PDF有  書誌情報

 日本経済研究センター
 (4月1日)事務局長、川勝充郎

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BSテレビ東京(会社人事)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  14ページ  26文字  PDF有  書誌情報

 BSテレビ東京
 (3月31日)退任(常務)内海元裕

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楽天、5年連続最終赤字 前期3394億円、23年ぶり無配に 携帯事業足かせ

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  1775文字  PDF有  書誌情報

 楽天グループが14日発表した2023年12月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が3394億円の赤字(前の期は3772億円の赤字)だった。赤字幅は縮小したものの、携帯電話事業の設備投資が引き続き重荷となり5年連続の最終赤字となった。株式を店頭登録した2000年12月期以来、23年ぶりに無配となる。
 売上高にあたる売上収益は前の期比8%増の2兆713億円。営業損益は2128億円の赤字(前の期は3716億円の赤字)だった。
 全体の足を引っ張ったのが携帯事業だ。携帯事業の営業損益は3375億円の赤字(前の期は4792億円の赤字)となった。楽天Gは自社回線用の基地局建設を前倒しで進めているが前期は投資を1776億円に抑制した。
 販管費削減も進めて赤字幅は大きく縮小したものの、不振の構図は変わっていない。今期はさらに投資を抑え1000億円を少し下回る水準を想定している。
 携帯の契約者数は23年12月末時点で596万件と9月末と比べて約80万件増えた。インターネット通販「楽天市場」に出店する中小企業などの法人契約が寄与した。
 三木谷浩史会長兼社長は「(24年12月期は)もう一度成長フェーズに入り、黒字化への道筋をつくる」と述べた。楽天Gは全社の売上収益について24年12月期は前期比2桁増の成長率(証券サービスを除く)を目指すとしている。
 一方、契約あたりの月間平均収入を示すARPUは1986円と前四半期に比べて60円下がった。ARPUの低下について、三木谷氏は個人向けより単価が安い法人契約の増加が理由と説明した。
 楽天Gは携帯事業のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)黒字化には800万~1000万件の契約が必要としており、ARPUの目標値を2500~3000円としている。両方とも目標には届いていない。
 三木谷氏は「今後サービスを充実させることで2500円~3000円を目指していきたい。ただ、ARPUを2500円以上にしようとなると、手の内は言えないがいくつかの施策を追加していく必要がある」と話した。
 5月から、つながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の利用を始める予定で顧客獲得の追い風になるとみる。EBITDAベースで24年末までに単月黒字化、25年に通期黒字化を目指すとした携帯事業の目標は据え置いた。
 金融事業の営業利益は37%増の1229億円だった。キャッシュレス化が進みクレジットカードの利用が伸びたほか、銀行と証券も好調に推移した。楽天市場を含むインターネットサービス事業の営業利益は19%増の768億円だった。旅行需要の回復でネット旅行予約サービスが伸びた。
 懸念だった足元の資金繰りには算段を付けつつある。24年と25年に計8000億円分の米ドル建てなどの社債の償還期限を迎える予定だったが、うち24年の約3200億円については1月に既発債の公開買い付けと起債を柱とする新たな調達策をまとめ、償還額を1000億円程度にまで抑えた。負債を増やさない資金調達の手段も増やしている。
 「24年のリファイナンスリスクは解消した。今年度の必要資金はすべて確保済みだ」。楽天Gの広瀬研二最高財務責任者(CFO)は会見で当面の資金繰りが前進したことを強調した。
 ただ懸念を拭えたわけではない。25年には2月と6月に計4000億円の個人向け社債の償還期限を迎える。広瀬氏は個人向け社債について「一部は能動的にリファイナンスを検討している」とした。「日本の個人向け社債市場は大変厚みがあり当社の認知度も高い。借り換えリスクは僅少だ」と説明した。
 楽天Gは14日、年間配当金は無配(22年12月期は4円50銭)とすることを発表した。復配については現時点では未定としている。また23年12月末時点で同社株を保有する株主全てを対象に、月30ギガバイト(ギガは10億、GB)まで使える自社の音声通話付きデータ通信を無料とする1年分の優待を提供するとも発表した。
 広瀬氏は無配の理由について「我々の最優先事項はまずは財務基盤をしっかりとして投資適格格付けへの復帰を目指すことだ」と述べた。「資本コストを削減し、資金流出を抑制することで株主価値を一層向上していきたい」とも話した。
【図・写真】決算会見する三木谷氏(14日、オンライン)

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ニデック永守氏「サポートに徹す」 海外M&Aに注力 次期社長に岸田氏

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  1013文字  PDF有  書誌情報

 ニデックは4月からの新しい経営体制を14日発表した。京都市の本社で記者会見した創業者の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は「私はM&A(合併・買収)には関わるが、サポート役に徹する」と述べた。「リタイア」「やめる」と何度も発言し、CEOに就く岸田光哉副社長を中心とする経営陣への若返りを強調した。(1面参照)
 指名委員会の酒井貴子委員長は岸田氏を新社長に選んだ理由を「社歴は浅いが、欧州の車載事業の改革に取り組んだ。永守イズムを継承し、リーダーシップを発揮できる」と説明した。永守氏も「2年一緒にやったらどんな人かはわかる。社員とうまくやっていける」と語った。
 岸田氏は「ニデックの原点に立ち返り、第2創業を成し遂げていく」と抱負を述べた。社長就任後の方針は「現状を引き継ぐ」とし、当面の目標として「車載事業の再建を2024年度にやりきる」と力を込めた。人工知能(AI)サーバー向けの冷却システムなど、新たな成長領域の育成に取り組むとした。
 永守氏は23年3月、新しい経営体制の発表に合わせて代表権を返上するとしていたが、一転して代表取締役にとどまる。永守氏は自身が注力するM&Aの重要性や難しさを理由に挙げた。「海外でM&Aを実行するには代表権が必要だ」との考えを示した。
 一方、酒井氏は「投資家の安心感のため。いきなり代表取締役が(6月の株主総会後に代表権を持つ予定の岸田氏)一人になると負荷が高まることも考慮した」と語った。
 ニデックは永守氏の手腕で急成長を遂げた半面、後継者選びが課題だった。10年代に外部人材を相次ぎ登用したものの、承継には失敗した。永守氏は「50年間経営して後継者問題ではつまずいた。(社長候補となる外部人材を)10年間探したが、これはという人はいなかった」と振り返った。
 岸田氏に対しては「分担して集団指導体制でやらないといけないと言っている」と明かした。
 永守氏は「今回リタイアするので置き土産として、待遇を改善する」と話し、初任給などを10%超引き上げるとした。代表取締役の任期は最長で4年間と明言。遅くとも28年4月までに「なにも仕事しない名誉会長になるのではないか。時々会社に来てお茶を飲んで帰る。(理事長を務める京都先端科学大の)大学運営にも関わる」と見通しを語った。
【図・写真】記者会見で握手する(左から)ニデックの永守会長、次期社長の岸田副社長、小部社長(14日、京都市南区)

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レゾナック、石化を分離 新会社は2~3年後上場

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  787文字  PDF有  書誌情報

 レゾナック・ホールディングス(HD)は14日、プラスチック(合成樹脂)などの原料となる石油化学(石化)事業をスピンオフ(分離・独立)して上場させる検討を始めたと発表した。2024年12月末までに詳細を詰め、2~3年後の実行を想定する。石化市況の悪化が続くなか、強みをもつ半導体材料事業に経営資源を集中する。
 分離対象は基礎化学品エチレンや派生製品などを製造する大分市のコンビナート事業で、23年12月期の売上高は3163億円、営業利益は87億円だった。アンモニアなどを製造する川崎市などの化学品事業は含まない。レゾナックHDが石化事業を新会社として分割し、新会社の株式20%未満を保有する。残りの株式を現物配当として同社の既存株主に分配する。
 新会社は東京証券取引所に上場させる。23年度の税制改正で始まった「パーシャル・スピンオフ」という事業再編の仕組みを使う。レゾナックHDは実質非課税で事業を切り離すことができる。
 高橋秀仁社長は同日の決算説明会で「石化事業を手放すのでなく、独り立ちさせることが目的」と説明。競合の石化メーカーも事業再編を模索するなかで「他の会社と組む話が進めば、共同企業体(JV)など他の手法もありうる」と述べた。
 全社の連結売上高のうち半導体・電子材料事業が占める比率を、23年12月期の約26%から30年に45%以上に高める方針も示した。
 同日、24年12月期の連結純利益が100億円になる見通しだと発表した。売上高は前期比3%増の1兆3300億円、営業利益は280億円の黒字を見込む。半導体市場の回復が追い風となる。
 23年12月期の連結決算は、売上高が前の期比8%減の1兆2888億円、最終損益は189億円の赤字だった。
 ハードディスク(HD)材料事業はデータセンター向けの需要不振を受けて減損損失として約101億円の特別損失を計上した。

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サッポロHD、ROE10%以上目標 不動産に外部資本

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  693文字  PDF有  書誌情報

 サッポロホールディングス(HD)は14日、不動産事業に外部資本を導入すると発表した。不動産の売却などを進める一方、その資金をビール事業のM&Aなど成長投資に振り向ける。自己資本利益率(ROE)は中長期的に10%以上を目指す。
 同日の決算記者会見で、2026年12月期を最終年度とする現行の中期経営計画の先を見すえた中長期経営方針を発表した。尾賀真城社長は「24年は構造改革にめどを立て、土台を固める年にする」と語った。
 酒類、不動産、食品飲料の3事業の集合体から酒類を中心とした事業構造に見直す。松風里栄子取締役は収益性の低さがサッポロHDの課題としたうえで「酒類、食品、不動産で経営資源が分散し、成長投資のためのリソースをグループ内で競合させてしまう」と説明した。
 不動産事業については「戦略パートナーからの資本導入など、不動産の保有形態を多様化する」とした。東京の恵比寿ガーデンプレイスや銀座など保有する全ての不動産を対象にする。松風氏は中長期経営方針の達成時期について「次の中計、30年度前後が一つのマイルストーン」と説明した。
 サッポロHDには不動産事業の資産が資本効率を低下させているとの指摘がある。ROEは24年12月期見通しで5.5%にとどまり、国内のビール大手に比べ見劣りする。
 サッポロHDに対しては、シンガポールの投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズが不動産事業の見直しや酒類事業の低収益性を指摘していた。3Dは2023年12月25日時点で16.19%を保有する筆頭株主となっている。サッポロHDは14日、3Dから株主提案はなかったことを明らかにした。

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ビール3社、今期の事業利益増 値上げ浸透、コスト増吸収

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  684文字  PDF有  書誌情報

 国内ビール大手3社の2024年12月期の連結業績予想(国際会計基準)が14日出そろった。本業のもうけを示す事業利益で全社が増益を見込む。値上げが浸透し、原材料高などコスト増を吸収する。ビールは23年10月の酒税改正で税額が下がった。非上場のサントリーを含む4社の24年のビール販売数量は23年比で4%増える見込みで、各社は新商品などに注力する。
 キリンホールディングス(HD)は14日、24年12月期の事業利益が前期比微増の2020億円になる見通しだと発表した。値上げやコスト削減による増益効果が約440億~460億円と、原材料高や燃料費などの増加による減益要因の約350億~370億円を上回る。医薬品子会社の協和キリンの英バイオ企業買収に伴う研究開発費用の増加が重荷になるもののわずかだか増益を確保する。キリンビール単体では4%増収を見込む。
 サッポロホールディングス(HD)の事業利益は22%増の190億円を見込む。原材料高をビールなどの値上げで吸収する。アサヒグループホールディングス(GHD)も3%の増益となる見通しだ。
 23年10月の酒税改正ではビールの税額が350ミリリットルあたり6.65円下がった一方、第三のビールは9.19円上がった。第三のビールから需要がシフトし、23年に販売数量に占めるビールの割合は6年ぶりに5割を超えた。
 各社は今後もビールへの投資を進める。キリンは17年ぶりとなるビールの新ブランドを今春に投入する。サッポロも「エビスビール」を2月製造分から8年ぶりにリニューアルする。アサヒも体験型ショップを期間限定で東京・銀座に開く。

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三菱自動車「RVR」国内向け生産終了

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  209文字  PDF有  書誌情報

 三菱自動車が小型多目的スポーツ車(SUV)「RVR」の国内向け生産を4月をめどに終了し販売も順次終えることが14日、分かった。国内各社がSUVを投入して同車種の売れ行きが低迷し、規制対応の開発コストを回収できる見通しが立たなくなった。海外向けの生産は続けるとみられる。初代RVRは1991年に発売。現行の3代目は水島製作所(岡山県倉敷市)で生産している。生産終了後は小型SUVの「エクリプスクロス」の販売に注力する。

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トヨタホーム、物流施設に参入

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  185文字  PDF有  書誌情報

 トヨタ自動車系のトヨタホームとミサワホームは物流施設の開発・運営事業に参入する。住友商事と共同で、2026年春から夏に横浜市港北区で地上4階建て、延べ床面積約11万2千平方メートルの大型施設を建てる。人口減に伴い主力の国内住宅だけでは大きな成長が見込みにくい中、自社のノウハウが生かせる事業を拡大する。新たな物流施設は住友商事が展開する「ソシラ」のブランドとする予定。

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ライオン「グロンサン」などを譲渡

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  175文字  PDF有  書誌情報

 ライオンは14日、ドリンク剤の「グロンサン」「グロモント」と外用消炎鎮痛剤の「ハリックス」を他社に譲渡すると発表した。譲渡額は非開示。経営基盤の変革に向けた事業構成の見直しの一環としている。グロンサンとグロモントは家庭用品の製造販売などを手掛けるレックに6月28日付で譲渡する。対象は「グロンサン内服液」「グロンサン強力内服液」「新グロモントA」。

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住友重機、造船事業から撤退

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  163文字  PDF有  書誌情報

 住友重機械工業は14日、造船事業から撤退すると発表した。国内の造船需要が低迷して、同事業は赤字が続いていた。修理船事業は継続する。浮体式洋上風力発電の設備製造などにドックや人員を振り向ける。撤退の対象となるのは、子会社の住友重機械マリンエンジニアリングが手掛ける中型タンカーの新造事業。2024年12月期から受注を停止した。

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村田製作所、滋賀県の新拠点に460億円

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  157文字  PDF有  書誌情報

 村田製作所は14日、滋賀県守山市で計画している新しい研究施設の概要を発表した。基礎研究や社外との技術交流を促進する拠点とし、2026年5月の完成を目指す。従業員数は1000~1600人の予定。総投資額は460億円となり、従来計画から300億円ほど増える見通し。イベントを開催可能な多目的ルームやラボなどを設ける。

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コカ・コーラ3~40%値上げ

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  133文字  PDF有  書誌情報

 コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)は14日、炭酸飲料「コカ・コーラ」などの一部製品を5月1日出荷分から値上げすると発表した。対象は45品目で、値上げ幅はメーカー希望小売価格で3~40%。原材料の砂糖やエネルギー価格が高騰しており、コスト上昇分を反映する。

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ニデック永守氏「サポートに徹す」 海外M&Aに注力――ニデック次期社長の岸田光哉氏(けいざいじん)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  659文字  PDF有  書誌情報

「逃げない」貫く、交渉に手腕
 「ハードワークで熱意のある紳士」「逃げずに諦めない人」。社内評はニデックの創業理念と重なり、古参の幹部のようだ。だが、執行役員常務まで務めたソニーを退社してニデックに入社したのは2年前。「ソニーで39年働き定年10カ月前に来た。自分を試したかった」。転職理由をこう語る。
 ソニー時代はスマートフォン事業の再建を担った。エリクソン(スウェーデン)との合弁事業の経験から「残り少ない会社人生をスマホにささげよう」と考え、2018年に赤字の事業会社の社長を志願した。社員と合宿を開き、夜通し膝詰めの議論を重ねて作成したビジョン「万人受けと決別」がカメラ機能の進化につながり、3年で黒字転換させた。
 新天地のニデックでは車載部品を担当。当初、ドイツに赴任し、23年3月期に多額の構造改革費用を計上した欧州の車載事業の取りまとめにあたった。社内からは「しんどいところを任せられても逃げない」との声が聞かれ、永守氏も「問題が起きた時の交渉が上手」と評価する。
 岸田氏はニデックの強みを「経営層が一枚岩なところ」とみる。「創業メンバーと濃密な時間を過ごせるグローバル企業はほかにない」と述べ「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」の創業理念を継ぐ。
 目先の課題は赤字が続く電気自動車(EV)向け部品事業だ。「黒字化というチャプターを完結するのが私のミッション」。重点領域だった中国EV市場の変調により、事業の前提条件は崩れている。ソニーで黒字化したスマホ事業のようにチームをひとつにまとめられるか。(祐)

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キリンHD次期社長の南方健志氏 事業転換へ試される胆力(けいざいじん)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  643文字  PDF有  書誌情報

 2001年に社長就任した荒蒔康一郎氏以来、23年ぶりに技術畑社長が誕生する。1月中旬、キリンホールディングス(HD)の磯崎功典社長から告げられた際は「重責のあまり即答できなかった」と振り返る。(1面参照)
 農学部出身で大学では乳酸菌を使ったバイオマスの研究にいそしんだ。入社後は取手工場(茨城県取手市)に勤務。分析や醸造を経験し、少しでも生産効率を上げるため麦汁は一滴でも大切にと教えられた。
 「噓でしょ。現場の頑張りを何だと思っているのか」。1990年に発売し、会社の顔に育った「一番搾り」。開発担当の同期から最初に搾った麦汁だけを使い、二番搾り麦汁を使わないでほしいと言われて驚愕(きょうがく)した。歩留まりが悪化するなかでも収量を維持できるよう製造工程をゼロから見直した。南方氏は「常識を疑うことを学んだ」と話す。
 磯崎氏は南方氏を「胆力がある」と評する。2018年、協和発酵バイオの社長就任直後に品質問題が発生した。現場の意見を洗い出し、南方氏は「うみを出し切った」と話す。キリンは健康関連事業の強化へと大きくかじを切る。磯崎氏が「ジグソーパズルの大きなピースがそろった」と話す、オーストラリアの健康食品最大手ブラックモアズの買収を進めたのも南方氏だ。先行投資が続いてきたが、黒字化がみえてきた。
 家族は妻と2女。週末はテニススクールに通い、声をからす。事業転換をなし遂げられるか。胆力が試される。
(悠)
【図・写真】記者会見するキリンHDの南方次期社長(14日、東京都中野区)

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建設産業専門団体連合会 岩田会長(ニュース一言)

2024/02/15  日本経済新聞 朝刊  15ページ  191文字  PDF有  書誌情報

 専門工事業者で高卒の新入社員の確保が難しくなっている。少子化影響だけではない。給与水準が低く、工事の繁閑によって日給が左右される不安定さを親が懸念している
 建設業では標準労務費の設定など待遇改善の議論が進む。下請け工事業者からなる建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長は「建設職人は震災で真っ先に対応するエッセンシャルワーカーだ」と語り、担い手確保に向けた待遇改善の必要性を訴える。

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